Project Area | Life-history reconstruction in marine animals: Transdisciplinary approach of geochemistry, physical oceanography, and ecology |
Project/Area Number |
22H05030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 進一 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (00371790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋岡 豪人 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 研究員 (00463092)
中村 政裕 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (00781832)
瀬藤 聡 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), コーディネーター (10463100)
柴野 良太 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (80786880)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥20,280,000 (Direct Cost: ¥15,600,000、Indirect Cost: ¥4,680,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | 魚類成長-回遊モデル / 生物地球化学タグ / 同位体 / 耳石 / 眼球水晶体 / 成長-回遊モデル / 成長ー回遊モデル / 魚類成長ー回遊モデル / 眼球 |
Outline of Research at the Start |
近年、技術革新が目覚ましい海洋生物の元素・同位体組成分析(生物地球化学タグ)と、成長-回遊モデル(エネルギー収支から成長を計算し、周囲の成長ポテンシャルなどから回遊方向を決定)を融合させることで、これまで不確かであった海洋生物の全生活史を通した回遊経路を今までにない精度で推定する。 このことにより、解析対象とする海洋生物が回遊経路上で経験する環境の生活史的変化を明らかにする。さらに、対象海洋生物の元素・同位体組成と成長を比較することにより、対象海洋生物のエネルギー取得戦略を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
マサバについて、生活史全体を表現できるように改良した生物エネルギー・個体群動態結合モデルに回遊モデルを結合させる作業を進めた。プロトタイプの開発はできたが、長期積分を可能とするためのチューニングが必要である。この生物エネルギー・個体群動態結合モデルでは、成熟期に産卵、成長、維持にエネルギーを振り分けることで、産卵量が決定されるため、親魚の魚体の状態が重要となる。マサバを含む日本周辺海域の魚類の体重長期変動を調べた結果、2010年代に多くの魚種で体重減少が確認された。特にマサバは密度効果に起因すると考えられる体重減少が顕著であり、産卵量にも影響していることが示唆された。このため、密度効果をモデルでも考慮する必要性が示された。上記の日本周辺海域の魚類の体重減少については、査読論文として公表した。 マサバの耳石酸素安定同位体比から経験水温情報を推定する際に必要となる水温-耳石酸素安定同位体比関係式が、稚魚変態までの初期生活史において、それ以降の生活史における関係式と異なる可能性があるため、飼育実験を実施し、稚魚変態までの関係式を求めるためのデータを収集した。 加えて、環境DNAを用いた小型浮魚類の分布特性に関する研究を進め、開発される回遊モデルの結果を検証するためのデータ蓄積が進んだ。環境DNAから実際の魚類の分布を推定するために必要な環境DNAの放出速度、分解速度を測定する飼育実験を実施した。 また、マアジ稚魚について、耳石酸素安定同位体比と眼球水晶体窒素・炭素安定同位体比を分析し、両者を併用することで、孵化海域の推定を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飼育実験を実施することができた。また、魚類回遊-成長-個体群動態結合モデルに向けたモデル開発は順調に進んでいる。成長-個体群動態結合モデルの論文発表に続いて、日本周辺魚類の体重変動に関する研究内容についても論文を発表することができた。また、モデルの検証データとなる魚類の部分については、環境DNAを用いた観測を精力的に展開し、データの拡充が進んだ。以上のことから順調に進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した生物エネルギー・個体群動態結合モデルと、以前から開発していた成長-回遊モデルを融合した魚類回遊-成長-個体群動態結合モデルの開発を継続して進める。 これらのモデルから得られる回遊履歴と、他計画班が分析を進める生物地球化学タグデータを合わせることで、魚類の回遊ルートを精緻に求める方法を開発する。 モデルの精度を高度化するため、低次栄養段階生態系モデルの高度化を図り、そのモデル出力環境下での数値実験を実施する。また、生物地球化学タグデータの信頼性向上のために、飼育実験による検証を継続して進める。これらの結果を総合して、回遊ルートの推定を精緻化し、何故回遊するのかという科学的問いを追求する。
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