霊長類の嫉妬:自他比較コアモジュールの情報処理機構
Project Area | The science of envy: Bio-Robotics integration for understanding social emotions and achieving an inclusive society |
Project/Area Number |
22H05081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
則武 厚 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (80407684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
揚妻 正和 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 准教授(兼任) (30425607)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥56,290,000 (Direct Cost: ¥43,300,000、Indirect Cost: ¥12,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2022: ¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
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Keywords | 嫉妬 / 自他比較 / マカクザル / マウス / 大規模神経活動記録および操作 / 霊長類 / 社会的情動 / げっ歯類 / 活動操作 |
Outline of Research at the Start |
則武らは、高い社会性を持つ非ヒト霊長類マカクザルを用いた実験により、前頭前野において、嫉妬の基盤となる自己と他者の報酬情報が独立に表現される情報処理様式を発見した。これを発展させ、自他情報の比較および嫉妬情動表象へと導く演算を担う神経回路と情報処理過程を明らかにすれば、嫉妬生成の仕組みの理解に大きな一歩となる。そこで本課題では、自他比較に焦点を当て、嫉妬神経機能モジュール解明とモデルの導出・実証を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本領域では、自己と他者の比較で生まれる社会的情動の一つとして嫉妬に焦点を絞り、従来のヒト研究だけでは困難な革新的なアプローチを介して、進化的に保存される社会的情動生成メカニズムに迫る。その中で、本計画班の研究は、特に非ヒト霊長類(マカクザル)の嫉妬生成に重要な自他の報酬価値の比較・嫉妬表象の詳細な特徴的活動を明らかにする目的で実施された。そして、非ヒト霊長類での活動操作とそれを補完するげっ歯類におけるホログラフィー光操作により、嫉妬神経機能モジュール解明とモデルの導出・実証を目標としている。 本年度は、サル2頭を同時に用いた嫉妬課題の開発とサルのトレーニング、前頭前野内側部を含む情動コア領域ネットワークから神経活動を記録するためのシステム開発、さらに、視線等の行動指標や脈波等の自律神経反応を同時記録する機器・記録システムの選定および開発をおこなった。嫉妬課題については、課題開発・システム開発・サル2頭同時を用いてのトレーニングを終了した。課題は一定量の報酬を分配し合うという報酬分配課題の1種であり、他者が得る報酬量に応じた自己の行動変容が認められた。そこで内側前頭前野を2頭の内1頭から同定し、現在この課題下における神経活動を記録している。加えて、視線や脈波等の計測も始めており、嫉妬神経機構の高次元情報処理機構を明らかにするためのデータ収集は順調であるといえる。また、非ヒト霊長類での活動操作を補完するげっ歯類における活動操作実験のため、分担者と嫉妬課題の開発をおこなった。 現在、関連論文を3報投稿し、リバイズ中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画したように、サル2頭を同時に用いた嫉妬課題の開発およびトレーニングを終了し、行動データの収集をおこない嫉妬様行動を確認した。さらに、嫉妬課題下における神経活動記録システムの開発を終了し、神経活動データ収集を開始した。また、自律神経反応としての脈波記録システム開発を終え、データ収集の開始を達成した。加えて、非ヒト霊長類での活動操作を補完するげっ歯類の活動操作実験に用いる嫉妬課題の開発を終え、ロードマップを策定した。また、分担者との共著を含む計3報の関連論文を投稿し、現在リバイズ中である。このため、計画通り順調に研究は進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
サルを対象とした研究に関し、来年度は、内側前頭前野に加えその他の嫉妬生成関連ネットワーク脳領域を選定し、複数脳領域の神経活動同時記録によるデータ収集をおこなう。収集したデータを基に、各脳領域の機能および嫉妬に関する神経情報の流れを同定し、可能なら特定の神経経路活動操作によって神経活動-嫉妬因果性の実証を目指す。実験動物の健康上の理由で神経記録および神経活動操作実験が困難となる場合に備え、新たにサルが入手できた場合は2ペア目のトレーニングを開始する。 また、げっ歯類における嫉妬課題については、マウスが嫉妬行動を表出するかは不明なため、少なくとも嫉妬に必要な報酬における自他比較成分を抽出できるまで、分担者と課題の改訂をおこなう。自他比較を含む嫉妬に関する行動や自律神経などの身体内外情報が取得でき次第、大規模神経活動同時記録による嫉妬生成に関するアンサンブル神経活動データ抽出に挑戦する。さらに、マウスの神経活動-嫉妬因果性の実証を目指す。 得られた神経活動・身体内外情報はA01・A03班と共有し、A03班による嫉妬モデルやシミュレーションによって提唱された神経機能モジュールの存在実証実験をさらにおこなう予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)