Project Area | Systems biosynthetics based on accumulation, prediction, and creation of biological reactions |
Project/Area Number |
22H05128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇本 敏幸 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (70363900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 研一 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (50812301)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥84,110,000 (Direct Cost: ¥64,700,000、Indirect Cost: ¥19,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥16,250,000 (Direct Cost: ¥12,500,000、Indirect Cost: ¥3,750,000)
Fiscal Year 2023: ¥15,860,000 (Direct Cost: ¥12,200,000、Indirect Cost: ¥3,660,000)
Fiscal Year 2022: ¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
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Keywords | 環状ペプチド / 環化酵素 / 生合成酵素 / ペプチド / 生合成 |
Outline of Research at the Start |
従来の有機合成的手法では調整が困難であった環状ペプチドを、生体触媒や微生物細胞を利用して効率的に合成することが可能になれば、医薬品原料の製造コストの大幅な削減につながるだけでなく、製造プロセスを環境調和型へと転換することができる。また従来探索困難であったケミカルスペースを拡充することで、創薬リード化合物の発見にもつながる。本研究によって中分子医薬品リードの修飾戦略の基盤技術を提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ペプチドは中分子サイズの骨格を比較的容易に合成できることから、中分子医薬品シーズの中心的存在である。ペプチドの中でもサイクロスポリン等の環状ペプチドは、生体内の分解酵素による消化を免れ、特有な3次元構造により膜透過性や標的分子への特異的作用が向上するため、重要な修飾ペプチド群である。しかしながら、有機合成による鎖状ペプチドの大環状化は、保護基の必要性、C末端残基の異性化や、分子間縮合を避けるために希釈条件を必要とする点など克服すべき問題を抱えている。一方、天然物の生合成では、各ペプチドに特化したペプチド環化酵素が、保護基を用いることなく位置選択的な環化を効率よく触媒する。このため、基質選択性の寛容なペプチド環化酵素の発見・開発は、大量の有機溶媒を必要としない環境調和型の次世代型物質生産技術を提示するとともに、環状ペプチドの新たな効率的合成法の確立に直結する。 我々はこれまで、放線菌の生産する非リボソーム型環状ペプチドの生合成に関わる全く新しいペプチド環化酵素SurEを発見し、これを新規ペプチド環化酵素ファミリーPBP-type TEとして位置づけてきた。SurEは基質選択性の寛容なペプチド環化酵素であり、生体触媒として高いポテンシャルを有する一方、基質末端の残基を厳密に認識するため、ペプチド環化触媒としての適用可能範囲は限定的であった。そこで本年度はホモログ酵素の探索と機能解析を実施し、基質適用範囲の拡張を試みた。さらに独自に開発した基質合成方法と酵素環化を組み合わせ、抗結核菌作用を有する環状ペプチドのライブラリーを合成した。さらに我々が独自に見出したアルギニン残基選択的なプレニル基転移酵素においても、ホモログ酵素を探索することで、基質選択性の拡張に成功した。今後はこれらの酵素を組み合わせ、大環状複雑骨格の効率的合成法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度までに、安価に入手可能なエチレングリコール(EG)と固相合成法を組み合わせた新たな基質合成法を確立した。本手法ではHPLCなどの精製操作を要さず、環化酵素の基質となるEGエステルを高収率で合成できる。さらに得られたEGエステル基質はSurEによって受け入れられ、効率的に環化反応が進行した。環化産物は高収率(70-90%)で得られるため、環状ペプチドの効率的な化学-酵素合成法を確立することができた。本手法では多様な配列を有する環状ペプチドを数mgスケールで合成することができ、最終産物に含まれる夾雑物は触媒量の酵素のみであるため、精製操作を経ずに得られた環状ペプチドの生物活性評価を直接検証することができる。そのため、迅速な誘導体展開と生細胞ベースの活性評価を実施することができる。そこで、今年度は抗結核菌作用を示す環状ペプチドwollamide誘導体の化学酵素合成に本技術を適用した。Wollamide類は放線菌が生産する環状ヘキサペプチドであり、生合成における環化はPBP-type TEに属するWolJが担う。そこで、多様な配列を有するwollamide類縁体をEG法によって合成し、それらの基質に用いたWolJによる環化反応を試みた。その結果、wollamide類縁体ライブラリーの合成に成功した。現在それらの生物活性評価を進めている。 さらに、我々が独自に見出したアルギニン残基選択的なプレニル基転移酵素Agc Fのホモログの探索ならびに機能解析を試みた。AgcFは環状ペプチド中のアルギニン側鎖のグアニジノ基を選択的にビスプレニル化する初めてのプレニル基転移酵素である。AgcFをクエリとしたゲノムマイニングによって、新規ホモログAnzFを見出した。さらにAgcFとAnzFの基質特異性をモデル構造と変異導入によって明らかにするとともに、基質選択性の改変に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
Wollamide類のライブラリー合成によって、エチレングリコールを脱離基に用いた化学酵素合成法の有用性が明らかになった。今後は同手法を用いてさらに環状ペプチドライブラリーの拡充を進める。引き続きPBP-type TEホモログの機能解析を進めるとともに、ホモログ酵素の機能に基づき、SurEに変異を導入し、基質選択性の拡張と、機能性の向上を目指す。さらに環化様式の拡充を目指し、異なる環化様式を有する新規ペプチド環化酵素の探索を進める。アルギニン残基へのプレニル基転移酵素についても基質選択性の拡張を行い、大環状骨格のアルキル化修飾への適用を試みる。
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