Project Area | Supra-ceramics: Molecule-driven frontier of inorganic materials |
Project/Area Number |
22H05146
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
|
Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
桑原 彰秀 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主席研究員 (30378799)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前園 涼 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40354146)
辻 雄太 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (80727074)
|
Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥110,760,000 (Direct Cost: ¥85,200,000、Indirect Cost: ¥25,560,000)
Fiscal Year 2024: ¥19,760,000 (Direct Cost: ¥15,200,000、Indirect Cost: ¥4,560,000)
Fiscal Year 2023: ¥19,370,000 (Direct Cost: ¥14,900,000、Indirect Cost: ¥4,470,000)
Fiscal Year 2022: ¥31,330,000 (Direct Cost: ¥24,100,000、Indirect Cost: ¥7,230,000)
|
Keywords | 第一原理計算 / 分子ユニット / 材料インフォマティクス / 表面構造 / セラミック材料 / マテリアルズ・インフォマティクス / 点欠陥 / フォノン / 遺伝的アルゴリズム / 表面 / 触媒 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では第一原理計算を用いて超セラミックスにおける特異な構造多様性とその電子状態の解析を行い、超セラミックスにおける分子イオンの特徴的な安定配位構造や格子振動状態、表面と分子間の反応挙動を解明する。B班(解析)内で実験チームと連携しながら、実験スペクトルの理論解釈やハイスループット物質探索と材料設計を実施し、得られた知見をA班(合成)、C班(物性・機能)にフィードバックすることで材料開発を推進する。特に、マテリアルズインフォマティクス(MI)や人工知能(AI)を駆使することで、結晶と分子が協奏する超セラミックス材料の構造と機能の支配因子を捉え、その学理を構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
超セラミックス材料の構造解析と物質変換反応の計算機シミュレーション: 超セラミックス材料における点欠陥形成挙動の理論解析として、酸化物系プロトン伝導体におけるOH-イオンの形成とプロトン拡散挙動の第一原理計算を用いた解析を行った。雰囲気中の気相分子との欠陥反応によって、超セラミックス格子内において分子ユニットの再構成反応が起こることを見出した。また、ハイスループット第一原理計算と実験検証によって非ペロブスカイト構造を持つ非従来型の新規プロトン伝導体の発見に成功した。機械学習ポテンシャルによる分子動力学計算によって、超セラミックス材料の異方的な熱膨張は、分子ユニットの特異的な熱振動状態に起因することを明らかにした。 超セラミックス材料のデータ駆動型物質探索と合成可能性予測:遺伝的アルゴリズムによる結晶構造探索が順調に進み、元来進めていた水素化物超伝導体のみでなく、領域内の実験研究者と協働して超セラミックス化合物にも適用を進め、原著成果を収めることができた。 超セラミックス表面の反応と物性の理論的研究:配位高分子KGF-9によるCO2の高効率変換を理論解析し、PbSと比較した。KGF-9は高い触媒活性を示し、PbSはほとんど活性を示さない。これは、表面のS-H基の役割と電子供給源の違いに起因し、KGF-9では表面からの電子供給が行われるが、PbSでは固体内部から行われるためであることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超セラミックス材料の構造解析と物質変換反応の計算機シミュレーション:プロトン伝導性Ca添加YPO4における点欠陥の網羅的第一原理計算を実施した。YPO4中に完全イオン化状態の酸化物イオン空孔(電荷状態:+2)が形成した場合、配位数が欠損しリン酸イオン中のPが大きく変位し、ピロリン酸イオン(P2O7)4-を形成する縮合反応が起こる。この酸化物イオン空孔は雰囲気中の水蒸気と水和反応を起こすことでYPO4の格子内にプロトンが溶解し、リン酸水素イオン(HPO4)2-が形成する。超セラミックス材料の欠陥反応における分子イオンの生成を計算で明らかにした。また、プロトン伝導性酸化物におけるOH-イオン形成反応(酸化物イオン空孔の水和反応)の起こりやすさを予測パラメーターとして、ICSDデータベース上の立方晶系酸化物の候補物質群に対するハイスループット第一原理計算を通じて、非従来型のプロトン伝導体の発見に成功した。領域内での共同研究の一環としてK2MnN(CN)4・H2Oの自発分極の第一原理計算、シアナミド化合物の熱膨張挙動の機械学習ポテンシャル分子動力学計算による解析を行った。 超セラミックス材料のデータ駆動型物質探索と合成可能性予測:遺伝的アルゴリズムによる結晶構造探索で今年度は5報の原著論文成果を挙げた。データ科学を活用した結晶構造の分類、識別、予測について、総説記事を日本結晶学会誌に執筆した。また、材料科学の実務に則した第一原理解析の洋書単行本が出版された。また、同様の内容を扱った和書単行本の第二版が出版された。 超セラミックス表面の反応と物性の理論的研究:酸素発生反応(OER)は水電解のための重要なプロセスであり、IrO2触媒の異なる表面(110)、(100)、(101)のOER活性を理論的に比較した。密度汎関数法を用いた電極触媒反応のシミュレーションの結果は実験結果と一致することが確認された。
|
Strategy for Future Research Activity |
超セラミックス材料の構造解析と物質変換反応の計算機シミュレーション:従来の古典力場計算用のポテンシャルでは超セラミックス材料のような格子内の分子ユニットの特異的な振動状態の再現性に大きな課題があったが、第一原理分子動力学計算を教師データとして構築した機械学習分子動力学計算は結晶系の熱振動解析に対して、極めて高い有効性を示すことが明らかになった。次年度以降、機械学習分子動力学計算による解析をさらに推進する。超セラミックス材料データベースの構築のため、結晶構造のcifファイルの入力から各物性値の第一原理計算を自動処理するプログラム開発を進める。 超セラミックス材料のデータ駆動型物質探索と合成可能性予測:これまでの機械学習という文脈でのマテリアルズインフォマティクスを超え、より人間の手間やモデル化、思考の介在を要求しない人工知能色を強めた方向に分野が急速に変化を遂げつつある。今後、人工知能をより積極的に活用する研究を推進する予定である。 超セラミックス表面の反応と物性の理論的研究:金属有機構造体MOFの空隙中に露出した金属カチオンサイトとゲスト分子との相互作用に伴うMOFの電子構造の変化を利用した分子センシングに関する理論的研究を実施している。吸着分子とMOFとの間の水素結合がMOF骨格に与える影響についての理論的な調査を今後進める予定である。
|