Project Area | Creation of gigantic chemical space science: Establishment of scientific principles for finding useful compounds from hundreds of millions of unknown compounds |
Project/Area Number |
23H03808
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原渕 祐 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任准教授 (60727204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STAUB RUBEN・MORGAN・ADRIEN 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任助教 (20940274)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥32,110,000 (Direct Cost: ¥24,700,000、Indirect Cost: ¥7,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,660,000 (Direct Cost: ¥8,200,000、Indirect Cost: ¥2,460,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,790,000 (Direct Cost: ¥8,300,000、Indirect Cost: ¥2,490,000)
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Keywords | 化学空間 / 反応経路探索 / 機械学習 / 量子化学計算 |
Outline of Research at the Start |
広大な化学空間における目的特性を有する化合物の探索は、新規医薬品や新規機能性材料の開拓が求められる我々の社会において必要不可欠な技術である。これまでに各研究分野で盤石な分子設計指針が確立されているが、新奇骨格が与えられた場合には、知識蓄積の研究が再度必要となる場合が多い。特に、発光機能や光触媒能を有する分子の開発では、反応過程における分子構造の予測は難しく、骨格が変わるたびに繰り返しの合成実験が必要となる。本研究では、反応過程の分子構造に基づき、巨大化学空間から目的の性質を有する分子群が存在する方向へと探索をナビゲートする「量子化学計算が操舵する化学空間探索」の実現を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、ニューラルネットワークポテンシャル(NNP)を用いた反応経路探索手法の応用、化学空間探索を行うための計算手法の応用、および、領域内の実験研究グループとの連携に基づく新規材料開発への展開おいて進捗があった。 一般的にDFTに基づく反応経路探索を用いた解析では、対象とする反応の置換基部分を省略したモデル系に対する計算が適用される。これに対して、2023年度は、フェニル基が複数含まれるような実際に実験がなされた基底状態の有機反応に対して、NNPに基づく反応経路探索による解析を適用し、計算結果から置換基による反応機構変化についての知見を得た。これらの計算では、本プロジェクトで導入したGPUとCPUを連動した計算機システムを用い、大規模な反応経路探索、データベース構築、データベースを用いたモデルの学習を行った。また、NNPに基づく反応経路探索手法の計算実行をサポートするユーザーインターフェイスの拡張を開始した。 化学空間探索を行うための計算手法の応用としては、動的経路分岐と呼ばれる1つの反応物から1つの遷移状態を越えて2つの生成物を与える反応に着目した。分子の置換基導入や原子置換のような化学修飾に対応する仮想的な力を加えた計算に基づき、ある分子骨格が動的経路分岐を示しうるかどうかを事前に推定する手法を活用し、量子化学計算に基づき動的経路分岐を示す分子を化学空間の中から探索する指針を得た。 光物性を有する有機化合物の探索に関しては、含窒素芳香族化合物に着目し、無輻射失活経路探索に基づいて、分子の発光特性と反応性に関する機構解析を進めた。領域内の実験グループと連携し、密度汎関数強束縛法に基づくポテンシャル交差探索とエネルギーシフト/TDDFTに基づく交差最適化を用いて無輻射失活経路を計算し、反応機構に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度までに、領域内の実験グループより1名の学生が北海道大学に滞在し、無輻射失活経路探索の技術を習得すると同時に、含窒素芳香族化合物の光物性に対する解析を進めた。また、基底状態の有機合成反応に対して、NNPに基づく反応経路探索の応用計算も進み、一般的な有機反応に対してその反応機構および反応機構の変化に関する知見を得た。さらに、計算実行をサポートするためのユーザーインターフェイスの拡張も開始した。量子化学計算に基づく化学空間の探索においても進展がみられ、新たな物性を有する分子群を理論的に推定する方法についても応用計算を行った。これらの成果から、本研究が順調に進捗していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に引き続き、領域内の実験研究グループと協力し、NNPを用いた反応経路探索の有機合成反応に対する応用と反応予測への展開、および、発光性分子探索の研究を推進する。 基底状態の有機合成反応に対しては、NNPに基づく反応経路探索により、分子の反応性および触媒活性に関する知見を得るとともに、分子設計を進める。本研究で導入したGPUとCPUを連動する計算機を用いることで、通常のDFTを用いた計算の適用がコスト的に困難な系に対しても、NNPに基づく反応経路探索を適用可能である。2024年度は、2023年度に引き続きこの方法を用いて、フェニル基を複数含むような実在の系に対して反応経路探索を適用し、置換基が反応に及ぼす影響を明らかにする。また、領域内の実験チームと連携し、酸触媒を用いた有機合成反応の反応性予測と実証実験を進める。さらに、NNPに基づく反応経路探索の計算実行をサポートするためのユーザーインターフェイスの拡張を進める。 発光特性を有する分子の化学空間探索についても、2023年度に引き続き、領域内の実験グループと連携して研究を進める。発光分子の設計は、励起状態から基底状態への無輻射失活過程を阻害することで発光過程を促進することを目指す。具体的には、実験グループが着目する分子に対して、置換基による分子修飾を考慮し、交差構造および励起状態の遷移状態構造を系統的に求め、置換基を様々に変化させた際の無輻射失活機構の変化に関する知見を得る。さらに、得られた知見に基づく分子設計と実証実験へと展開する。
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