共生体が持つ物質の多様性と生態系における新機能の解明
Project Area | Creation of holobiont molecular sciences by integrating biosphere and molecular informatics |
Project/Area Number |
23H03823
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
恒松 雄太 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30629697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 隆一 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (20265721)
北 将樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30335012)
犬塚 俊康 岐阜大学, 高等研究院, 准教授 (50467271)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥50,440,000 (Direct Cost: ¥38,800,000、Indirect Cost: ¥11,640,000)
Fiscal Year 2024: ¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥14,040,000 (Direct Cost: ¥10,800,000、Indirect Cost: ¥3,240,000)
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Keywords | ホロビオント / 天然物 / 共生 / 化学物質 / 遺伝子改変 / ゲノム / 鍵物質 / 渦鞭毛藻 / サンゴ |
Outline of Research at the Start |
天然有機化合物(天然物)は各々の生物種に備えられた特殊な代謝機構を介して生合成される物質である。化学構造的多様性が高く、歴史的には医薬品開発の探索源などとして利用されてきた。その一方、実環境に目を移すと、各生産生物がどのような意図で天然物産生を行っているのか?産生された物質の生態における生理的機能や役割は何か?といった根本的な問いについては理解が進んでいない。そこで本研究ではサンゴ-褐虫藻-細菌叢間の共生系に着目し、これら生物間において相互作用に働く鍵物質を同定する。「物質を介して生態系を俯瞰する」という新しい観点を基にした生物圏の生態情報と物質機能情報を紐付ける新たな研究手法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究班は、特に海洋生物イワスナギンチャクと共生褐虫藻のホロビオント環境に焦点を当てた分野横断型研究を進めている。今年、沖縄本島や石垣島などでフィールド調査を行い、イワスナギンチャク類のゲノムとトランスクリプトーム解析、代謝産物の解析を実施した。その中で、ある生物由来のユニークな新規化学物質の構造を共同研究にて解明した。 また、北海道で発生した赤潮関連の渦鞭毛藻「Karenia selliformis」の研究を開始し、ホロビオント環境から分離したバクテリア株#17が、渦鞭毛藻の増殖を亢進する化学成分を産生していることを発見した。この成分の化学構造を決定し、実際にKarenia属渦鞭毛藻の増殖促進効果が認められることを発見した。 今後はイワスナギンチャクのゲノム解読を完了し、共生・非共生種の比較解析を行い、ホロビオント環境での鍵となる物質の特定を目指す。また、Karenia由来の増殖亢進成分の機序解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究班では特に海洋生物イワスナギンチャクや共生褐虫藻に関わるホロビオント環境に着目した分野横断型研究を進めるため、本年は沖縄本島、石垣島ならびに西表島にてフィールド調査と研究試料採集を、Reimer班、山下班と共に行った。特殊な環境に棲息するイワスナギンチャク類のゲノム・トランスクリプトーム解析、ならびに代謝産物解析を実施した。ある生物(ここでは都合上未公表)を由来とする代謝産物については、単離後、マイクロEDによる構造解析に成功し、その化学構造が前例のない、ユニークな化学物質であることを解明した。 一方、2021年に北海道にて大発生し、巨額の漁業損失を引き起こした赤潮から分離された渦鞭毛藻Karenia selliformisにおけるホロビオント環境に着目した研究を開始した。共同研究者らとの解析にて、同ホロビオント環境から分離したバクテリア株#17が、本渦鞭毛藻の増殖を亢進する成分を産生していることを発見した。本年度は、その化学成分の解析を行った。生物活性検定での再現性が低く、当初は研究が困難を極めたが、とある工夫により解決することができた。その後、増殖亢進成分の単離、構造解析に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度には数種のイワスナギンチャク種のゲノム解読が完了する予定であり、褐虫藻をもつ共生種、非共生種とのゲノムやトランスクリプトーム、代謝産物の比較解析を行い、ホロビオント環境における鍵物質特定を目指す。加えて褐虫藻・スナギンチャク由来の代謝産物について引き続き化学構造解析を行い、その先には生合成遺伝子情報の取得、生合成・代謝経路情報の取得・解析を行っていく。なお、これまでに特定さした化合物については順次論文化ならびに学会での成果発表を行う。 赤潮由来渦鞭毛藻Kareniaの増殖亢進成分については、構造―活性相関を明らかにするとともに、なぜバクテリアの特定種(#17)のみがKareniaの増殖亢進を引き起こすのか、化学物質・生体レベルでの解析を行い、作用機序解明を目指す。既にKarenia、バクテリア種(#17)の由来海域をメタゲノム情報から取得しており、北海道沿岸域での赤潮発生、すなわちKarenia属渦鞭毛藻の大規模発生という、生物学的一大イベントの一因を科学的に明確にする。
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Report
(1 results)
Research Products
(33 results)
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[Presentation] On the evolution and ecology of azooxanthellate cave-living Palythoa spp.2023
Author(s)
Timotheus Maximilian van den Eeckhout, Chloe Julie Lois Fourreau , Kairi Takahashi, Iori Mizukami, Emmeline Jamodiong, Giovanni Masucci, Tohru Naruse, Ryuichi Sakai, Masaki Kita, Yuta Tsunematsu, Hiroshi Yamashita, James Davis Reimer
Organizer
第26回日本サンゴ礁学会
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