Project Area | Philostasis: A universal principle of "pausing" in multicellular tissues. |
Project/Area Number |
23H03861
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中西 未央 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (70534353)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥34,320,000 (Direct Cost: ¥26,400,000、Indirect Cost: ¥7,920,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,830,000 (Direct Cost: ¥9,100,000、Indirect Cost: ¥2,730,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,830,000 (Direct Cost: ¥9,100,000、Indirect Cost: ¥2,730,000)
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Keywords | 造血幹細胞 / 休止 / 老化 / 多細胞 / 造血前駆細胞 / 休眠 / 増殖 / 多細胞間相互作用 / 細胞休止 / 幹細胞老化 |
Outline of Research at the Start |
組織幹細胞はしばしば増殖や分化を休止させた状態で保持されている。活動休止は幹細胞の長期維持に必須であり、老化や慢性炎症により休止維持できなくなった幹細胞は組織再生能を失い枯渇していく。本研究では幹細胞が子孫細胞との細胞間相互作用を介して能動的に休止制御しているとの仮説をたて、その検証を通じて数ヶ月から数年にも及ぶ造血幹細胞休止の未知の制御メカニズムを解明する。さらに幹細胞老化による休止維持の破綻を統合的に理解することにより、老化幹細胞の若返り技術確立へとつなげる事をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は数ヶ月から数年にも及ぶ造血幹細胞休止の維持に注目し、幹細胞と子孫細胞との細胞間相互作用を介した能動的な休止維持メカニズムを発見・解明することを目的とする。
初年度(2023年度)はマウス骨髄の組織学的解析により休止造血幹細胞を可視化・マッピングし、研究代表者が予備的解析で見出した造血幹・前駆細胞の空間的組織化と、造血幹細胞休止との相関関係を明らかにする事をこころみた。技術的な問題により造血幹・前駆細胞マーカーと細胞増殖マーカーKi67の同時可視化に時間を要したが、造血幹・前駆細胞が空間的組織化により一定のクラスター構造形成を示すこと、さらにこの空間的組織化と造血幹細胞の休止状態とのあいだに高い相関があることを見出した。 そこで造血幹・前駆細胞の空間的組織化と休止制御のあいだに因果関係があるか否かを調べるため、ウイルス感染模倣刺激であるpoly(I:C)投与によって造血幹細胞の休止を抑制した場合の変化を観察した。その結果、造血幹細胞の休止抑制・増殖誘導により、定常状態で見られた造血幹・前駆細胞の配置が顕著に変化する事を見出した。造血幹細胞の一時的な増殖亢進にもかかわらず各細胞周囲の造血幹・前駆細胞が減少する事は、造血幹・前駆細胞の空間的組織化が単なる増殖分化の結果ではなく、外来刺激に応答した造血幹細胞休止制御メカニズムとしてはたらいている可能性を示唆する。
次年度(2024年度)では造血幹・前駆細胞の空間的組織化のダイナミックな変化と休止制御の関係についてより詳細な解析をおこなうとともに、その分子基盤となるシグナルメディエーターについて空間的トランスクリプトームをもちいた探索を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度前半は独立研究スペース移転(2023年3月)後のセットアップおよびチーム体制整備の必要もあり、上述の組織学実験における技術的なトラブルシューティングに時間を要したが、その解決後に急速に研究が進展しつつある。当初計画において初年度終了時に見込んでいた進捗を達成できたため「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2024年度)以降の研究推進方針として、まず初年度に得られた造血幹・前駆細胞およびその休止状態の同時可視化技術、および取得された多次元画像データにもとづく休止幹細胞のマッピング解析法の確立をおこない、早期の成果発表をめざす。このイメージング技術を駆使し、休止抑制刺激後の造血幹・前駆細胞の空間的ダイナミクスをより詳細に解析することにより、初年度の結果で示唆された造血幹・前駆細胞の空間的組織化と休止制御の因果関係を明確化する。
次に休止状態や空間的組織化状況の異なる造血幹・前駆細胞の空間的トランスクリプトーム解析をおこなう。これにより休止維持の分子基盤解明の手がかりを得られることが強く期待される。当該イメージング技術は強い化学固定や変性を必要としないアドバンテージをもっており、近年指摘されている(Nature Aging 4 177)長時間にわたる細胞選別プロセスによるアーティファクトのない、よりintactな造血細胞オミクスデータの取得が可能になると期待される。
さらに次年度後半以降は慢性炎症や加齢が造血幹・前駆細胞の空間的組織化の変容を介して造血幹細胞休止抑制をもたらしている可能性について、異なる月齢における骨髄の組織学的解析等により検証をおこなう。
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