Project Area | Integrative bioarchaeological studies on human prehistory in the Japanese archipelago |
Project/Area Number |
23H04845
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30634414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 鉄哉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (40781597)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥109,850,000 (Direct Cost: ¥84,500,000、Indirect Cost: ¥25,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥21,190,000 (Direct Cost: ¥16,300,000、Indirect Cost: ¥4,890,000)
Fiscal Year 2023: ¥22,880,000 (Direct Cost: ¥17,600,000、Indirect Cost: ¥5,280,000)
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Keywords | 酸素同位体比年輪年代法 / 炭素14スパイクマッチ法 / 気候復元 / 極端災害 / 古環境変遷 / 炭素14年代法 / 太陽活動復元 / 暦年較正曲線 / 産地推定 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、先史時代の日本列島域の古環境変遷を「酸素同位体比年輪年代法」および「炭素14スパイクマッチ法」を用いて高い時空間解像度で復元する。特に①「鬼界アカホヤ噴火」の誤差0年決定、②過去6400年間の降水量と太陽活動の復元、③世界的寒冷化イベント(4.2-4.3kaイベント)の影響評価を目的とする。そのために、埋没木と遺跡出土木材の網羅的な酸素同位体比分析と炭素14分析を実施する。並行して新規の木材資料獲得と年代決定を行ない、より古い時代まで復元できる基盤形成を進める。本研究によって、日本列島域における古環境の形成と先史人類の適応について明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先史時代の日本列島域の古環境変遷を「酸素同位体比年輪年代法」および「炭素14スパイクマッチ法」を用いて、1年の時空間解像度で復元する。特に①縄文時代早期と前期を画する破局噴火「鬼界アカホヤ噴火」の誤差0年の年代決定、②過去6400年間にわたる年単位の降水量および太陽活動の復元と両者の関係性の解明、③4200-4300年前に起きた大寒冷化イベント(4.2-4.3kaイベント)の気候復元と列島各地の影響評価を目的とする。 今年度は遺物の年代測定および古環境データの獲得のため、岡山県津島岡大遺跡、千葉県高谷川低地遺跡、秋田県成沢2遺跡、福井県西塚古墳、埼玉県膝子遺跡などの出土木材を分析した。関東の古気候復元の基礎データの獲得のため、東京都高輪築堤の枕木、千葉県山武市のスギ、佐倉市のモッコク、エノキ、旭市のボダイジュなどを採取した。 本研究に関連する成果を書籍1件、国際誌論文4件、国際会議3件、国内学会5件、埋文報告書2件、一般向け講演会3件にて公表した。また、NHK Eテレの「ザ・バックヤード」に研究代表者が出演し、樹木年輪の炭素14に基づく太陽活動復元研究について紹介した。東京大学大学院新領域創成科学研究科所属の博士課程院生の博士論文研究、東京学芸大学大学院教育学研究科所属の修士課程院生の修士論文研究に必要な試料、データ、実験環境の提供を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
代表者が所属する国立歴史民俗博物館は、令和5年度概算要求の採択により、自動グラファイト作成装置「Ionplus AGE 3」、安定同位体比質量分析計「Thermo scientific DELTA Q」、超高解像度デジタルマイクロスコープ「HIROX HRX-01」を導入した。これにより、従来から継続してきた炭素14年代測定のさらなる高速化、高効率化が可能となった。また、これまで名古屋大学または福島大学に依存してきた年輪セルロースの酸素同位体比測定が自前でできるようになった。次年度以降はこれらを活用しこれまで以上のペースで成果を量産できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
酸素同位体比年輪年代法は、年代測定の物差しとなる「標準年輪曲線」が存在する時代・地域の資料にしか年代を与えられないという制約がある。気候復元や木材産地推定などの応用研究も標準年輪曲線なしにはなし得ない。 現時点では、中部・近畿地方のヒノキから構築された過去2600年間の標準年輪曲線(Nakatsuka et al. 2020)と、日本海側のスギから構築された2つの先史時代の標準年輪曲線(2349–1009 BCE、1412–466 BCE)(Sano et al. 2023)しか公表されていない。古環境復元を時空間的に高精度に実施するためには、標準年輪曲線の拡充が必須である。 令和6年度は、これまでに蓄積してきたデータをもとに、北日本版の新たな標準年輪曲線を公表する。また、紀元前3000年を突破する東アジアで最も長い標準年輪曲線の構築も進め、公表を目指す。これらの標準年輪曲線によって、幅広い地域・時代の木材資料の年代決定を可能にし、得られたデータに基づいて高精度な気候復元を進める。本研究の第三の目的である「日本列島における4.2-4.3kaイベントの復元」の達成を目指す。
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