Project Area | Establishing the Field of Dignity Studies:Toward an Interdisciplinary Paradigm of Social Integration Based on the Concept of Dignity |
Project/Area Number |
23H04850
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | The University of Nagano |
Principal Investigator |
馬場 智一 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 教授 (10713357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 公生 岩手大学, 教育学部, 嘱託教授 (30183750)
津田 栞里 東洋大学, 文学部, 助教 (50961992)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥14,430,000 (Direct Cost: ¥11,100,000、Indirect Cost: ¥3,330,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 尊厳 / 被造物の尊厳 / 尊厳不要論 / スピノザ主義 / カント / シラー / 集合的記憶 / 被災地 |
Outline of Research at the Start |
本領域では、尊厳概念について概念史の立場から解明を進める。ヨーロッパではスイス基本法に見られる「被造物の尊厳」といった新たな尊厳概念が登場し、これまでの尊厳概念史では、歴史的な整合性が不明になっている。これを踏まえ、本領域の学術的問いは、「現代の「被造物の尊厳」などの新たな尊厳概念を踏まえた、欧米圏の尊厳概念史の再構築は可能か」である。したがって、本領域の研究目的は、このような概念史モデルを構築・提案することにある。主に独仏語の概念史においてその源泉となりうる水脈を調査しつつ、他方で尊厳概念不要論の根拠となる隣接概念を、比較概念史的に調査検討することで、この目的を達成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
7月に研究分担者2名とのミーティングを行い、今年度の活動方針を確認し、9月のシンポジウムの研究打ち合わせを行なった。これに基づき9月9日に東京大学にて、尊厳学フォーラム第3回A02班・A03班共催シンポジウム「尊厳概念史の諸問題 人間論の比較思想的検討」をA03班(非西欧圏における尊厳概念を担当)と共催した。本A02班メンバーは各担当範囲に関連する以下の発表を行なった。 宇佐美公生「尊厳と権利―尊厳不要論を手がかりに」 、津田栞里「西洋の尊厳概念史に対する3つのアプローチ:尊厳概念史におけるカントの〈脱魔術化〉再考に向けて」、馬場智一「現代フランス語圏における被造物の尊厳の思想的源泉に関する研究計画と先行研究との関連性」。 12月には世界哲学を担当するA04班及びヒルデスハイム大学(ドイツ)共催のシンポジウムにおいて、班長が次の発表を行なった。Tomokazu Baba, “Ando Shokei and the concept of correlation (Gosei)” 2024年1月には班主催の研究会「尊厳と感情 集合的記憶の喪失と美的感情の観点から」( 2024年1月26日(金)17:00-19:30, 東洋大学(6号館4階 6406教室)およびオンライン)を開催し、(1)オーソドックスな概念史的研究と、(2)東日本大震災からの復興の文脈を踏まえた新たな概念使用に関連する研究との、一種の「対話」をもくろみ、二人の専門家をお招きした。(1)については、中村美智太郎氏(静岡大学)から、「シラーにおける尊厳」についてご発表頂いた。(2)については、佐藤香織氏(神奈川大学)から、「集合的記憶と尊厳―東日本大震災の被災地の記録を通じて」と題しお話頂いた。研究会の内容については、2月に報告用サイトを作成し掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9月の研究会では、それぞれ担当する課題についての今後の見通しを立てることができた。9月の研究会では、非西洋圏における尊厳概念にあたるものを、扱う難しさから、概念よりは、尊厳という概念によって示されている事柄に定位して研究を進めるべきであるという、班を横断した研究活動の指針が見えてきた。そのような場合、尊厳という名称が使われていないが尊厳に相当する事柄であるということもありえる。これは西洋における尊厳概念史でも当てはまると思われる。 12月の発表では、比較思想的な研究を行う際の方法論として、哲学が根付いている文化的背景とその不可分性を明確に論じることができた。また、1月の研究会では、オーソドックスな思想研究と現代的な問題における尊厳を突き合わせて考察することができ、次年度以降の研究の方法の一つとして有用であることが期待された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究領域の前身となる科研費の研究成果が書籍として出版されたので、その成果について次年度は書評会を通じて改めて検討し、本研究課題として取り組むべき問題のありかをより広い視点から探る。8月の世界哲学会議では、世界の哲学的動向を調査しつつ、海外との学術ネットワークの構築にも注力する。年度の後半からは、班主催の研究会を、メンバーそれぞれの担当課題をテーマにして3回程度開催する。
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