Project Area | Establishing the Field of Dignity Studies:Toward an Interdisciplinary Paradigm of Social Integration Based on the Concept of Dignity |
Project/Area Number |
23H04856
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 俊介 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (80755819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 玲奈 東京電機大学, 工学部, 助教 (10768500)
本田 康二郎 金沢医科大学, 一般教育機構, 教授 (40410302)
小山 虎 山口大学, 時間学研究所, 准教授 (80600519)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥55,250,000 (Direct Cost: ¥42,500,000、Indirect Cost: ¥12,750,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
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Keywords | 尊厳 / AI / ロボット / 先端科学技術 / 社会的受容 |
Outline of Research at the Start |
本研究は「尊厳」概念を総合的に論じる場として「尊厳学」の確立を目指し、その「臨床応用的」問題の一つである先端科学技術の社会的受容(あるいは拒否)に注目する。先端科学技術が急速に発展するなかで、その社会的受容における影響を予見的に分析し、何のためのイノベーションなのかを一般市民との討議を交えて自己反省する応答的イノベーションが求められているからだ。とりわけAI・ロボットの社会的受容に焦点を絞り、そこにおいて「尊厳」概念がどのように規範として機能しうるのかを具体的に分析し、あるべきあり方をAI・ロボット倫理学として提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は「AI/ロボットの社会的受容に伴う問題点の析出」を研究テーマとしてAI/ロボット、ビッグデータをめぐる社会的受容と尊厳の問題について以下のような成果を得た。 一点目としては、AI/ロボット研究者が現場で抱えている問題と、哲学者/倫理学者が論じるAI倫理の問題との間には乖離がないかという問題意識から、クロス・フィロソフィーズ株式会社の協力および業務委託により、AI/ロボット研究者にインタビューを行い、AI倫理全般の問題から尊厳や社会的受容の問題に関わる質問を行ない、現状の認識・共有を行なったことである。AI研究とAI倫理の研究の間に問題認識の乖離が見られるという点を現時点である程度確認できた。 二点目としては、有識者をゲストに招いて「第三回尊厳学フォーラム」と本班単独のワークショップを開催し、今年度の研究テーマに関する情報の共有を行い、多角的な視点からの知見が得られたことである。前者のフォーラムでは、生成AIの問題に焦点を絞り、「生成AIの倫理的諸問題と尊厳」をテーマとして、坂口慶祐氏、カテライ・アメリア氏、竹下昌志氏の各有識者を招き、議論が行われた。後者のワークショップでは、より視点を広げ「AI・ロボットの社会的受容と尊厳」をテーマとして、神崎宣次氏と工藤郁子氏をゲストとして招き、倫理学と法学の視点から、参加者との活発な意見交換が行われた。 三点目としては、特任助教と臨時職員を中心として、AI倫理や尊厳の問題に関わる文献サーヴェイを進められたことである。一部の成果は前述のワークショップで公表された。得られた知見や発見としては、AI倫理の研究の中でも「AIと尊厳」に関わる研究は相対的に少なく、尊厳概念に直接言及していなくとも、「AIと人権」などの尊厳と大きく関わる問題にサーヴェイの範囲を広げる必要性が認識されたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は「AI/ロボットの社会的受容の問題の析出」をめぐる現状の認識・共有および分析を中心に行われたため、現状の課題を抽出するという点ではある程度の成果が達成されたと思われるが、インタビューや文献サーヴェイがまだ継続中という点で課題も残る。未達成の課題を達成することも含め、2023年度の反省を生かしつつ、2024年度以降の研究テーマに取り組んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に未達成のインタビュー調査や文献サーヴェイについては調査の枠組設計自体は完成しているため、あとは実施するのみの段階である。また、2024年度は、「AI・ロボットの社会的受容が人間の尊厳に与える影響の評価」をテーマとして研究に取り組む予定であり、すでに幾つかの研究発表の機会を予定している。一つ目は「尊厳学の確立」の他の班との合同シンポジウムを予定しており、これまでよりも学際的なアプローチを打ち出す。二つ目2024年の8月にローマで開かれる世界哲学会議(World Congress of Philosophy)で”Is Dignity a Essentially Contested Concept?”という題目で報告予定である。またこれまでの研究成果を論文集という形で公刊することも検討中である。
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