Project Area | Establishing the Field of Dignity Studies:Toward an Interdisciplinary Paradigm of Social Integration Based on the Concept of Dignity |
Project/Area Number |
23H04857
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
田坂 さつき 立正大学, 文学部, 教授 (70308336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美馬 達哉 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (20324618)
石井 哲也 北海道大学, 安全衛生本部, 教授 (40722145)
笹月 桃子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40809125)
阿久津 英憲 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 生殖医療研究部, 部長 (50347225)
香川 知晶 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (70224342)
松原 洋子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (80303006)
加藤 泰史 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90183780)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥92,040,000 (Direct Cost: ¥70,800,000、Indirect Cost: ¥21,240,000)
Fiscal Year 2024: ¥19,370,000 (Direct Cost: ¥14,900,000、Indirect Cost: ¥4,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
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Keywords | ゲノム編集 / 先端医療技術 / 尊厳死 / 反延命主義 / 生命操作による尊厳の毀損 / IPS細胞研究 / 安楽死 / 無益な治療 / ACP / 優生思想 / 人間の尊厳 / 尊厳の毀損 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、先端医療技術の倫理問題を中心に医療そのもののあり方や医療の社会的影響を「尊厳」の毀損の観点から分析する。近年、治療法がない難病や疾患の患者の死ぬ権利、尊厳死・安楽死・治療中止という選択肢を提示することも議論されている。「臨床哲学対話」を通して、前述の治療を実施する医療従事者側の暗黙の意識や暗黙の欲望も暴露でき、高齢者に安楽死の選択肢を提供する映画『PLAN 75』の描く社会不安のあり様も先取りすることができた。本研究はこ「臨床哲学対話」という独自の方法論を使って先端医療技術が引き起こしかねない「尊厳」の毀損の現場を的確に捉えてそれを克服する豊かな方向性を「尊厳」概念の中に探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本課題に即して特に高齢者や子どもの尊厳の毀損を中心課題とした。 具体的には、75歳以上で安楽死を希望すれば実施できる制度PLAN75が施行された日本未来社会を描く映画PLAN75を2023年9月30日に大学で上映し、シネマカフェを実施するもので、医師によるALS患者自殺幇助事件との関連で、日本にも安楽死法の必要性が話題になっている中で、市民・学生と高齢者の尊厳について考える絶好の機会となった。その成果を社会調査により検証した結果については2024年度に報告する予定である。 2023年10月12日には、オックスフォード大学医療倫理学教授ドミニク・ウィルキンソン教授を招聘し、同教授と同じく神経内科医である研究分担者美馬哲也氏が座長となり、立命館大学でラウンドテーブルを開催し、日本の終末期医療についてのコメントを求め、ウィルキンソン教授の論文「生命を脅かす病の乳幼児の生命の価値と苦痛の評価」について小児医療に携わる医師である研究分担者笹月桃子が特定質問者に立ち議論を深めた。これについてはテープ起こしを完了し、2024年度に報告書を作成する予定である。 その他、班員7名と特任研究員1名のそれぞれの研究分野における尊厳の毀損と倫理をめぐる現状と課題を研究したが、2023年度は尊厳死の問題に集中したため、ゲノム編集など先端医療技術について、研究会やシンポジウムなどで科研全体として取り上げる機会がなかった。しかしながら、研究分担者香川知晶と石井哲也はそれぞれ、このテーマについて研究を遂行しているので、2024年度以降に同テーマでシンポジウムを開催する準備が整っている。また、最終年度までに同科研研究計画版で共著本を出版する準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での安楽死・尊厳死について市民と議論する機会として、PLAN75シネマカフェの実施については、当初困難が予想されたが、映画配給会社との交渉がスムーズに進み、シネマカフェのファシリテータについては、実績があるNPOから派遣を得て、無事企画が成立した。当日は研究者・市民の関心が高く、計画通り進行した。広報期間が短かったので、再度開催の要望もあった。 海外からの生命倫理研究者の招聘として、医師であり研究者であるオックスフォード大学医療倫理学教授ドミニク・ウィルキンソン教授を招聘したが、本研究班には、ウィルキンソン教授と同分野の医師が2名おり、人間の尊厳の毀損という問題を巡って、有意義な議論の機会となった。コロナ禍でウィルキンソン教授の招聘計画が実現できなかった、田坂さつきを研究代表者とする基盤B「生命操作の倫理ー生と死の自己決定をめぐってー」課題番号23K21875 との共催で実施したが、立命館大学でのラウンドテーブルは本科研本研究班のテーマと合致しており、有意義であった。 次年度については、IPS細胞やゲノム編集における尊厳の毀損の問題を中心に、トークイベントやシンポジウムを計画している。また、最終年度に向けて、共著本の出版を視野に入れて検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、5月25日に開催される若い芸術家の製作展のトークイベントとして、国立成育医療センター遺伝子細胞治療推進センター長小野寺雅史氏と研究代表者田坂さつきが、ゲノム編集の功罪をテーマに若いアーティストと語り合う。これは、ゲノム編集に関する製作品の展示会を実施してきたギャラリーとの共催のアウトリーチ活動である。 また、都内でIPS細胞やゲノム編集を利用する場合の尊厳の問題を取り上げ、シンポジウムを開催することを計画している。また、2023年度から進行性難病ALS患者と患者の尊厳に関する臨床哲学対話を行ってきたが、最重度のALS患者の療養について研究している医療人類学者を招聘して講演会を開催する予定である。さらに、西欧からの研究者招聘が続くため、台湾の生命倫理の草分けである蔡先生の講演会も計画している。 さらに、最終年度に向けて、本研究班で共著本を出版する計画も検討している。
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