Project Area | Latent Chemical Space Based on Diverse Natural Products for Bio-active Molecular Design |
Project/Area Number |
23H04882
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 稔 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, グループディレクター (80191617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛谷 秀昭 京都大学, 薬学研究科, 教授 (00270596)
出井 晶子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 副基盤ユニットリーダー (00970972)
八代田 陽子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 副チームリーダー (60360658)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥109,460,000 (Direct Cost: ¥84,200,000、Indirect Cost: ¥25,260,000)
Fiscal Year 2024: ¥28,080,000 (Direct Cost: ¥21,600,000、Indirect Cost: ¥6,480,000)
Fiscal Year 2023: ¥15,600,000 (Direct Cost: ¥12,000,000、Indirect Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | 標的同定 / ケミカルゲノミクス / 分子プローブ / ハイスループットスクリーニング / AI創薬 / アッセイ系開発 / 分子標的同定 / 天然生理活性物質 / ケミカルプローブ |
Outline of Research at the Start |
本計画研究では、本領域で得られた新規生物活性物質の分子レベルの作用機序をケミカルゲノミクス法、各種先端的相互作用解析技術、これまでに蓄積された100種類を超えるin vitro 評価系を用いて解明する。また、天然物および低分子化合物ライブラリーからの大規模スクリーニングを通じて構造活性相関データを取得することで、化合物構造と生物活性の法則性を明らかにし、活性予測精度を向上させるためのマルチモーダルデータを取得する。さらにエピジェネティクスや代謝関連因子など、がん、生活習慣病、遺伝病などの発症機序の理解や治療につながるケミカルプローブを取得し、独自のケミカルバイオロジー研究を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化合物潜在空間を基盤とする「サイバー生物活性分子デザインラボ」によって新しい生体機能解析や医薬・農薬シーズに結び付く画期的生物活性分子を開発することを目的とする。そのため、デザインされた化合物の生物活性の検証、化合物潜在空間の高精度化を目指した種々の手法によるハイスループットスクリーニング(HTS)、さらに本計画研究で得られる新規活性物質からのケミカルプローブ合成とエピジェネティクスや代謝に関わる独自のケミカルバイオロジーを実施する。 2023年度は、理研天然物ライブラリーNPDepoから見出した抗真菌活性を有するNPD6433について、酵母ケミカルゲノミクス(CG)解析により脂肪酸合成酵素Fas1が標的であることが予測されたので、生化学的アッセイや薬剤耐性株の単離により検証した。また、in-house天然物模倣型合成化合物ライブラリーより見出したKUSCについて、酵母CG解析により標的を予測した。さらに、荒井班岩月より提供された大村天然化合物ライブラリーについて、酵母の増殖阻害活性探索を実施した。一方、ハイスループットスクリーニングとしては、ホスホフルクトキナーゼ1(PFK1)を標的とする阻害剤の探索を開始した。我々はこれまでPFK1阻害が細胞でのミトコンドリア代謝機能の改善作用を有することを報告しており、PFK1阻害剤は新規ミトコンドリア病の治療法として期待されるが、これまで動物モデルで検証可能な十分な活性と代謝安定性を有する阻害剤は報告されていない。そこで、qHTSの手法により、東大General Aライブラリーから選抜した28,800化合物の評価を行い、濃度依存的に酵素阻害作用を示した380化合物を選抜した。また、がん特異的代謝を標的として、アスパラギン合成酵素阻害剤bisabosqual類を見出し、新たな生理活性物質の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、(1) 「サイバー生物活性分子デザインラボ」で創成される、あるいは同定される生理活性物質の作用機序を解明するとともに、(2)さまざまなアッセイ系の構築とハイスループットスクリーニング(HTS)を実施し、新しい生理活性物質を同定するとともに高品質な生物活性データをB01班に提供し、(3)生命科学に資する新たなケミカルプローブを創成することを目標とする。 作用機序研究に関しては、結合タンパク質を釣り上げるアフィニティ法とケミカルゲノミクス(CG)法を併用する。化合物処理と標的分子をコードする酵母の遺伝子変異株との「合成致死性」の定量化による化学遺伝学的相互作用をバーコードシーケンスにより一括検出し、その結果を遺伝学的相互作用データベースと照合し化合物の標的予測・同定を行う。本年度はまず、研究分担者掛谷がin-house天然物模倣型合成化合物ライブラリーより見出した特徴的な抗真菌作用をもつ新規化合物KUSCについて、相互作用解析に資するプローブの合成研究を行うとともに、酵母CGによる標的同定を試みた。その結果、標的経路がリボソーム生合成であることが予測された。HTSに関しては、ホスホフルクトキナーゼ1(PFK1)を標的とする阻害剤の探索を行うため、評価系の構築を行った。具体的にはPFK1の反応で生じるADPをヘキソキナーゼ、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、ジアホラーゼと共役させた発色系を考案し、効率よく活性測定できることを見出した。これを用い、定量HTS(qHTS)を実施して380化合物をヒットとして同定した。また、新規天然活性物質として、アスパラギン合成酵素阻害剤bisabosqual類、新規抗菌剤precezomycin、複合培養由来の新規アノイキス誘導剤amoxetamide Aなどを見出した。このように、当初の計画通り、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
作用機序研究に関しては、引き続き同定された生理活性物質の活性発現メカニズムをケミカルゲノミクス法によって解析する。特にKUSCの標的候補分子については、細胞内、試験管内での相互作用を解析してその妥当性を検証する。また、岩月から提供される大村天然化合物ライブラリーについては、順次ケミカルゲノミクス解析試験を開始する。さらに、B01班が予測生成し、C01班が合成した化合物が提供され次第、それらの作用機序解析を進める。一方、HTSに関しては、引き続きPFK1等の興味深い標的について評価系を構築してHTSを実施する。特にPFK1阻害剤候補として得られた化合物に関して今後は、SPRによりKDを算出し、有望な化合物について細胞代謝機能を調べる予定である。また、HTSの結果として得られたヒット化合物と不活性化合物の構造情報をB01班に提供し、機械学習の教師データとして活用する。さらに、新たに見出された天然活性物質については、それらのプローブ化を行うとともに、作用標的の同定を目指した化学遺伝学研究を実施する。
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