Project Area | Green Catalysis Science for Renovating Transformation of Carbon-Based Resources |
Project/Area Number |
23H04914
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
稲木 信介 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70456268)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥79,560,000 (Direct Cost: ¥61,200,000、Indirect Cost: ¥18,360,000)
Fiscal Year 2024: ¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥14,430,000 (Direct Cost: ¥11,100,000、Indirect Cost: ¥3,330,000)
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Keywords | 炭素資源変換 / 電解反応 / 機能性高分子 / 水素原子移動 / グリーン触媒科学 / 電解ポスト機能化 / 高分子ポスト機能化 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では、電気・光エネルギー駆動の触媒反応に基づく高分子ポスト機能化法の開拓を目的とする。グリーン炭素資源変換の観点から、高分子化合物、特に汎用高分子の官能基化・機能化法の開発を目指す。様々なグリーン触媒の力により、汎用高分子を炭素資源として短工程での高付加価値製品製造を実現することにより、本学術変革領域研究の目標であるグリーン触媒科学の確立に貢献する。多くのグリーン触媒は小分子を対象として開発されているため、対象を高分子に拡張し、高分子ならではの特性や高分子効果などを踏まえた学術的な課題に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電気や光エネルギーに基づくラジカル触媒反応を利用して、安価な汎用高分子の主鎖骨格を選択的に活性化し、官能基導入による機能化に取り組む。まず、汎用高分子であるポリスチレンを基質として、HAT触媒による機能化反応の原理検証を行った後、様々な汎用高分子、グリーン触媒反応を適用して一般性を示すとともに、より高難度な変換や複雑な構造をもつ高分子材料創製へと展開する。 本年度は、次の1~3の計画に従い、研究を実施した。【1.HAT触媒の発生方法の検討】では、ポリスチレンの α 位(3 級炭素)上の水素ラジカルを引き抜くために最適なHAT触媒の発生方法について、電気化学的アプローチにより検討した。NHPI存在下、ポリスチレンのサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところ、触媒電流が観測されたことから、電気化学的HAT触媒サイクルによるポリスチレンの活性化が可能であることを見出した。【2.電解HAT触媒を用いるポリスチレンの機能化】では、NHPIをHAT触媒として用いることによりポリスチレン主鎖上 α 位に選択的にラジカルを発生させた後、官能基導入を検討した。ヨウ素存在下、ポリスチレンの電解反応を行ったところ、ポリスチレン主鎖上 α 位にヨウ素が最大で約22%導入されることを見出した。元素分析やXPS測定により同定し、比較的安定な高分子を得ることに成功した。【3.ホウ素錯体を有する高分子の合成とラジカル源としての応用】では、光励起によりアルキルラジカルを発生させるホウ素錯体を含む高分子の合成に成功した。可視光照射によりラジカル発生源として機能することをすでに見出している。A03班長大宮教授との協創研究として進めている。 このように、本年度はおおむね順調に進展した。今後は、より多彩な高分子ポスト機能化に取り組むとともに、班員との協創研究を一層充実させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、次の1~3の計画に従い、研究を実施した。1.HAT触媒の発生方法の検討、2.電解HAT触媒を用いるポリスチレンの機能化、3.ホウ素錯体を有する高分子の合成とラジカル源としての応用。以下に進捗状況をまとめる。 【1.HAT触媒の発生方法の検討】ポリスチレンの α 位(3 級炭素)上の水素ラジカルを引き抜くために最適なHAT触媒の発生方法について、電気化学的アプローチにより検討した。NHPI存在下、ポリスチレンのサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところ、触媒電流が観測されたことから、電気化学的HAT触媒サイクルによるポリスチレンの活性化が可能であることを見出した。 【2.電解HAT触媒を用いるポリスチレンの機能化】NHPIをHAT触媒として用いることによりポリスチレン主鎖上 α 位に選択的にラジカルを発生させた後、官能基導入を検討した。ヨウ素存在下、ポリスチレンの電解反応を行ったところ、ポリスチレン主鎖上 α 位にヨウ素が最大で約22%導入されることを見出した。元素分析やXPS測定により同定し、比較的安定な高分子を得ることに成功した。 【3.ホウ素錯体を有する高分子の合成とラジカル源としての応用】光励起によりアルキルラジカルを発生させるホウ素錯体を含む高分子の合成に成功した。可視光照射によりラジカル発生源として機能することをすでに見出している。A03班長大宮教授との協創研究として進めている。 以上のことから、本年度の達成度に関して、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の取り組みや成果を踏まえ、次年度は特に以下の課題を検討する。 【1.電解HAT触媒を用いるポリスチレンの機能化】ポリスチレンの α 位(3 級炭素)または β 位(2 級炭素)上の水素ラジカルを引き抜くために最適なHAT触媒を電気化学的に発生させ、続くラジカル補足剤との反応により官能基化する。すでにヨウ素化について反応の進行が示唆されているため、構造決定および種々の官能基を用いる反応を検討する。 【2.HT触媒を用いる汎用高分子の機能化】二電子酸化メディエーターであるHT触媒を電気化学的に用い、種々の汎用高分子の官能基化を検討する。例えば、ポリビニルピロリドンのアルコキシ化などに有効であると期待される。 【3.光レドックス触媒を用いる高分子の官能基化】側鎖にフタルイミドエステルを有する高分子を合成し、光レドックス触媒を用いるラジカル発生およびラジカル-極性交差を経て求核剤を導入する。A03班班長大宮教授との協創研究として効率的に進める。 【4.ホウ素錯体を有する高分子の光励起によるラジカル発生】光励起によりアルキルラジカルを発生させるホウ素錯体を高分子中に組み込み、ラジカル発生源としての利用を検討する。すでに高分子の合成に成功しているため、合成化学的利用に加え、接着応用なども検討する。
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