Project Area | Hadean Bioscience |
Project/Area Number |
26106002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 茂徳 東京工業大学, 地球生命研究所, 特命教授 (50111737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 哲也 東京工業大学, 理学院, 教授 (00467028)
澤木 佑介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00635063)
大森 聡一 放送大学, 教養学部, 准教授 (90267469)
鳴海 一成 東洋大学, 生命科学部, 教授 (90343920)
ドーム ジェームズ 公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, 研究員 (30723671)
丹下 慶範 公益財団法人高輝度光科学研究センター, その他部局等, 研究員 (70543164)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥246,610,000 (Direct Cost: ¥189,700,000、Indirect Cost: ¥56,910,000)
Fiscal Year 2018: ¥51,220,000 (Direct Cost: ¥39,400,000、Indirect Cost: ¥11,820,000)
Fiscal Year 2017: ¥52,130,000 (Direct Cost: ¥40,100,000、Indirect Cost: ¥12,030,000)
Fiscal Year 2016: ¥52,260,000 (Direct Cost: ¥40,200,000、Indirect Cost: ¥12,060,000)
Fiscal Year 2015: ¥52,000,000 (Direct Cost: ¥40,000,000、Indirect Cost: ¥12,000,000)
Fiscal Year 2014: ¥39,000,000 (Direct Cost: ¥30,000,000、Indirect Cost: ¥9,000,000)
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Keywords | 冥王代表層環境 / 原子大陸 / 生命誕生場 / 原始大陸 / 自然原子炉欠泉 / 生命誕生の3ステップモデル / 物質循環 / アノーソサイト / 自然原子炉間欠泉 / 生命誕生の3ステップモデル / 原始大気CO2 / 酸化場と還元場 / 原初大陸 / 原子炉間欠泉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究班では、地球史研究から導かれる「生命誕生の器」としての原始地球表層環境を定量的に復元し、冥王代地球表層環境進化の過程を具体的に解明することを目的としている。H29年度の研究は主に5つのテーマで実施された。 [1]生命誕生場と生命誕生のプロセスの解明:生命が誕生するためには、水があるだけでは不十分で、それ以外にも複数の環境条件が満たされることが必要である。そこで、諸条件の中から生命誕生場に必要な9つの条件を抽出してまとめた。 [2]白馬地域の地質の継続調査と古環境の分類:冥王代類似環境としての白馬地域の特殊な水環境について比較分析し、水環境場を4つのタイプに分類した。白馬で特徴的な蛇紋岩熱水系温泉水は、高アルカリかつ水素ガスを大量に含んでおり、特に、H2を含むため貧酸素水であり、そのため冥王代型の微生物生態系が形成されていることが明らかになった。 [3]オクロの自然原子炉の研究:ガボン国内の数地域で露頭周辺の調査を集中的に行い、最適と思われる掘削地点を三か所抽出した。 [4]地球の起源と新たな太陽系惑星形成論の展開:太陽系進化の初期条件を決めるうえで、太陽系組成ガスから凝縮した最古の物質であるCAIの理解を深めることが重要である。そこで、始原的隕石ALLENDEに含まれる3種類のCAIに注目し、それらの核合成起源Sr同位体異常(μ84Sr)を高精度で測定した。その結果、μ84Sr値の大きさはFTA > Type B > FSの順であることが判明した。 [5]継続的なブレインストーミングの実施:2件の国際ワークショップと4件の国内向けワークショップ実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで成果をまとめると次のようになる。(1)ABELモデルの提案:地球は裸の岩石惑星として誕生したあと、二次的に揮発性成分が付加し、大気・海洋を持つ惑星に至ったとするモデルである。加えて、大気・海洋・大陸が共存した結果、初めて生命惑星になりえたことを説明した(Maruyama and Ebisuzaki, 2017)。(2)自然原子炉間欠泉モデルの提案:生命誕生には、前駆的化学進化を促進する高密度のエネルギー源が必要で、その役割を果たしたのがウラン鉱床(自然原子炉)である。生命は、自然原子炉と間欠泉の組み合わさった自然原子炉間欠泉で誕生したと説明した(Ebisuzaki and Maruyama, 2017)。(3)生命誕生場に必要な条件の抽出:生命の誕生に水の存在は必要不可欠であるが、それだけでは生命誕生には至らない。そこで、生命誕生場に必要な環境条件を抽出し、前述したエネルギー密度も含めて根拠とともに9個を挙げた(査読中)。(4)生命誕生までの三段階モデルの提案:ダーウィンは「環境が変わらなければ、進化はない」と名言を残した。つまり、生命の誕生と進化を支配したのは環境の変動である。我々は、復元された冥王代の表層環境と自然原子炉間欠泉モデルから、どのように原始生命が生まれたかをまとめ、三段階モデルを提案した(準備中)。これら4点の成果は、「生命の起源」研究において画期的提案であり、本研究領域を大きく前進させた。 また、A03班によるHakuba OD1の解析によって、この微生物は遺伝子数が400に満たない40億年前の「生きた化石」であることが分かった。今後は生命誕生場の模擬実験装置を作り、最小遺伝子微生物である「生きた化石」を組み込むことによって、「生命の起源」の実証実験が視野に入ってきた。こうした成果は、当初の計画以上の発見に基づく進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、これまでの研究成果を論文としてまとめることが第一に重要な点である。この点については、成果を日本語で分かりやすく解説することも重要と考え、地学雑誌特集号「冥王代の世界」へ12論文を投稿済み(冥王代生命学他班を含む領域全体の成果数)で、更に10編程度の論文の投稿を準備中である。本年度の研究推進方策については下記のとおりである。 [1]生命誕生場と先駆的化学進化のプロセスの解明:岩石―水相互作用による二次変質に伴って生成する低温の変質鉱物が金属たんぱく質の合成反応に関与するプロセスを再現実験する。これはA02班との共同作業となる。また、冥王代型の環境下で生きている化石生物の分類を進め、微生物ゲノムの系統的解析に向けた、世界標準の地下水生態系を確立するための予備調査としたい。 [2]冥王代地球表層環境進化のモデルのまとめ:地球が生命惑星となった出発原因を説明した新しい地球形成モデル「ABEL(生命元素降臨)モデル」はすでに論文となったが、炭素循環に関する新モデルの論文化の作業が次の課題である。定量的な議論を可能にするために、A05班と共同作業を進め、「生命惑星存続」の条件を決める。 [3]オクロの自然原子炉の研究:ガボン共和国オクロの自然原子炉の層準を貫く掘削を計画している。本年度は、掘削と試料の回収を進める。 [4]地球のような生命惑星を生むことが可能な原始惑星円盤の初期条件を探る:CAIに残された原始惑星の初期条件、および、ABEL爆撃時代に絶妙の揮発性物質の量が降臨した条件を探る。
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