Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
Bcl-2やBcl-xLがミトコンドリアへ局在することは、その抗アポトーシス作用に重要である。われわれはBcl-2やBcl-xLに結合するタンパク質としてイムノフィリンFKBP38を同定した。FKBP38はミトコンドリアに局在し、その局在はBcl-2やBcl-xLと一致した。FKBP38の変異体を作製して、人工的にFKBP38の局在を変化させると、変異FKBP38に引き寄せられるようにしてBcl-2やBcl-xLの局在も変化した。またFKBP38の発現をsiRNAで抑制するとBcl-2やBcl-xLはミトコンドリアに局在しなくなった。つまりFKBP38はBcl-2やBcl-xLをミトコンドリアに引き寄せる作用があることが明らかとなった。一方FKBP38はFKBP12と部分的に類似しており、FKBP12は免疫抑制剤FK506と結合して、このFKBP12-FK506複合体がカルシニューリンを抑制する。興味深いことにFKBP38はFK506非存在下でもカルシニューリンを阻害することが判明し、カルシニューリンの生理的なインヒビターであることが示唆された。現在まで何故生理的には生体内に存在しないFK506という薬物がFKBP12とカルシニューリンという関係ない二つの分子を結びつけているのか全くの謎であったが、われわれはFKBP12+FK506という構造がカルシニューリンの生理的インヒビターであるFKBP38の構造に類似しているためであろうと推測している。FKBP38は過剰発現するとアポトーシスを抑制する。逆にドミナントネガティブ変異体の発現やsiRNAによるFKBP38の発現抑制は細胞をアポトーシスに対して感受性にすることがわかった。これらのことから、ミトコンドリア局在イムノフィリンFKBP38はBcl-2のミトコンドリア局在作用及びカルシニューリン阻害作用の二つの機能を持ち、アポトーシスの制御に重要な役割を果たしていることが示された。
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