Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度も前年度に引き続き、前近代の日朝関係史を考察する上で最も重要な外交文書に関する研究を進めるために、現在日本に残されている外交文書原本を可能な限り実見し詳細なデーターをとった。また、中世的禅宗の展開を考察するために、代表的な地方禅院の踏査を行った。その際、遺構の残存状況・禅寺の立地状況・歴史的景観に注目し、デジタル画像写真による資料の収集と保存を行った。なお、本年度は最終年度であるため、前年度までの史料調査で見落とした箇所を補填するために、奈良国立博物館・東京大学史料編纂所、独立行政法人国立公文書館、京都大学総合博物館、京都府立総合資料館・山口県文書館・名古屋大学等の諸機関へ赴き、史料調査も行った。本年度の研究成果としては、以下の4点がある。(1)中世後期の外交使節が宿泊する寺院を網羅的に明らかにした。(2)日本に現存する外交文書様式・書契を総合的に分析した。(3)九州大学目本史学研究室所蔵の「宗義達吹嘘」を分析・紹介した。(4)中世九州の禅宗勢力の展開を詳細に考察した、上田純一著『九州中世禅宗史の研究』(文献出版 2000年)の書評を行った。以上の研究成果と前年度までの研究成果とを併せることによって、研究課題「前近代における禅宗社会の展開と環シナ海地域交流」の研究目的を達成したといえる。
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