Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度は、本研究の最終年度として、前年度までに検討してきた、単成分系ナノ粒子の合成に関する生成過程の評価の研究をもとにして、主に球形ナノ粒子合成を目的としてプロセスの最適化をはかった。気相プロセスはクリーンで大量の微粒子が合成できるプロセスとして注目されているが、生成粒子の凝集が大きな問題となっている。そこで、本年度は凝集の緩和に重点をおいて研究を行った。具体的には、静電噴霧法を利用して生成する単極荷電イオンを原料ガスとともに、反応炉内へ導入した。そのさい、生成粒子が単極荷電イオンと衝突する、もしくは、イオンを核として粒子が生成するというメカニズムを経て、単極荷電した粒子が生成するために粒子間に静電反発力が働き、粒子間の凝集が緩和されるというものである。本手法はElectrospray Assisted Chemical Vapor Deposition (ES-CVD)法と呼ぶ。このES-CVD法によって、非凝集で球形のシリカ、チタニア、ジルコニアといった各種酸化物のナノ粒子が合成できた。しかも、供給原料濃度を変化させることで40nmから10nmの範囲で粒子径が制御できた。このES-CVD法は非凝集球形ナノ粒子合成のためのひとつの手段として有効な手法であると考えられる。さらに生成粒子はあらかじめ単極荷電粒子であるため、静電気力を利用した静電粒子捕集器により基板上へナノ粒子を付着できた。粒子付着および配列形成に関する研究では、当初、外部の荷電装置および微分型静電分級器の利用によって単極荷電粒子を製造する予定であったが、ES-CVD法により、これらを用いることなく粒子発生装置から粒子付着装置まで一連のプロセスとして扱うことができる。以上のように、本年度は、これまでの粒子合成の評価を基礎とした粒子形態制御と、静電気力による粒子付着制御までのシンプルなプロセスを提案できた。
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