Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
CADはアポトーシス時に活性化されるDNaseであり、死細胞内でのDNA分解を担っている。一方、アポトーシス細胞のDNA分解は、CADのみならず、死細胞を貪食した貪食細胞内のDNaseIIによっても担われていることが示唆されている。昨年度までに、DNaseIIは赤芽球から脱核した核DNAの分解に必須であり、DNaseIIが欠損すると赤血球造血に異常が生じることを示してきた。本年度は、アポトーシス細胞のDNA分解の分子機構並びに生理作用を明らかにするため、これまでに作製してきたCAD、DNaseIIそれぞれの欠損マウスに加え、CAD/DNaseII二重欠損マウスを作成し、これらを用いて解析を行った。すると、胎生17.5日目の胸腺細胞の数が、DNaseII欠損マウスでは野生型の29%、CAD/DNaseII欠損マウスでは12%に減少していた。細胞表面マーカーについてのFACS解析から、DNaseII欠損マウス、CAD/DNaseII欠損マウスでは、胸腺細胞の増殖、分化がプロT細胞ステージで抑制されていることが示された。これらの胸腺にはDNAを蓄積したマクロファージが観察された。そして、電子顕微鏡を用いた解析から、これらのDNAはマクロファージのリソソームに蓄積しており、そのDNAの形状は、CAD/DNaseII欠損マウスではインタクトな繊維状であるのに対し、DNaseII欠損マウスでは、より断片化された粒子状であることが示された。以上の結果より、生体内において、CAD及びDNaseIIがアポトーシス細胞のDNA分解に協調的に作用しており、胸腺でのアポトーシス細胞のDNA分解に異常が生じると、T細胞の発生が妨げられることが示された。
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