Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
暗黒物質アクシオン探索の手法は、共振空洞内に強磁場を印可しプリマコフ効果によりアクシオンをマイクロ波に転換させ、その微弱なマイクロ波を検出するというのが一般的である。本研究ではこの微弱マイクロ波検出にRydberg原子を用いることにより、高感度な単一光子検出を行うということが特徴である。具体的には空洞の共振周波数に等しい準位間エネルギーを持ったRydberg原子を空洞内に導入してマイクロ波を吸収させる、ということを行っている。このことから測定装置のアクシオンに対する感度は、共振空洞中のマイクロ波とRydberg原子との相互作用の振る舞いによって大きく左右される。2準位系としてのRydberg原子と共振空洞との相互作用は空洞量子電磁気学を用いて計算される。実際の実験装置においてはRydberg原子のエネルギー準位は空洞中の浮遊電場(Stark shift)、磁場と速度(Motional Stark effect)等によって変化し、結果としてマイクロ波の吸収効率も変化するため、空洞中を通過したRydberg原子の励起効率を様々なパラメータを変化させて計算し、実験装置のアクシオンに対する感度を得るために必要な値を得た。また、アクシオンを光子に転換するには強力な磁場をかけることが必要である。本研究の実験装置ではこの磁場の強さは最大7テスラにも達する。一方で共振空洞中のマイクロ波を検出するために導入するRydberg原子は強磁場下ではMotional Stark effectやゼーマン効果によるエネルギー準位のシフトを起こし、マイクロ波との共鳴状態が崩れてしまう。このためRydberg原子ビームパス上をNbとNbTiを用いて覆い、これらを超伝導状態にすることにより外部からの磁場を遮蔽できることを確認した。
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