Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1)四国三波川帯の瀬場地域はエクロジャイトナップの境界を含む地域であるが、報告者は、このナップ境界からナップ内部へ向かい、褶曲構造とガーネットの内部微細構造の変化を調査・記載した。その結果、ナップ境界がある変形段階(DA)において広域変形の核として振る舞ったことがわかった。これを踏まえ、広域変成作用における変形段階の推移が新たなナップの付加に付随して起こるという新モデルを提案した(Journal of Structural Geology誌に受理され、印刷中)。2)三波川帯の含エクロジャイト変はんれい岩の起源を知るため、瀬場変はんれい岩周辺の岩石を用いて主要・微量元素の全岩化学組成分析(XRFによる)を行った。その結果、従来マントルウェッジ起源と考えられていた同岩体の化学組成が、外縁部で周囲の堆積起源岩に近づいてゆく傾向が認識された。この事は同岩体の海洋底起源を支持し、従来の学説と相反する。その後の野外調査で得られた情報も併せ、報告者は含エクロジャイト変はんれい岩類の原岩は海洋底起源のオリストリスであるという結論に達した。この成果は2002年10月に大阪大学で行われた日本岩石鉱物鉱床学会で発表し、現在、Journal of Petrology誌に投稿中である。3)四国東部に産する高越エクロジャイトに対して相平衡岩石学的な解析を行い、沈み込み時の温度・圧力履歴を導出した。これまでに三波川変成岩から得られている沈み込み時の温度・圧力履歴とこの結果を併せる事で、高圧変成岩上昇期には沈み込み帯の温度構造が高温・低圧側に大きくシフトしている事が判明した。このような特異な温度構造を説明するため、沈み込み帯への海嶺の接近を組み込んだ熱モデル計算を構築、実施した結果、高圧変成岩の上昇が海嶺沈み込みの直前期に起こる事が示唆された。この成果は現在、投稿準備中である。
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