Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
mTOR (mammalian target of rapamycin)は、免疫抑制剤ラパマイシンの細胞内標的蛋白質として同定されたSer/Thr protein kinaseである。mTORは、細胞をとりまくアミノ酸濃度の変化を感知して蛋白質合成や細胞増殖を制御する機構において中心的な役割を果たしていると考えられている。本研究では、このシグナル伝達系に関与する蛋白質やリン酸化蛋白質のリン酸化部位を質量分析法を用いて同定しその生理的意義を検討することにより、このシグナル伝達系が細胞周期制御においてどのような役割を担っているのかを明らかにすることを目的としている。本年は年次計画に基づいた実験を行った結果、以下の成果が得られた。1、共同研究者とともに、質量分析法を用いて新規mTOR結合蛋白質raptorを同定し、raptorはmTORのscaffold蛋白質として働きmTORが下流の分子にシグナルを伝える上で重要な働きを担っていることを明らかにした。2、現在までにmTORがin vivoにおいて刺激依存性に複数ケ所リン酸化されることを見い出していたが、これら新規のリン酸化部位であるSまたはTをA(非リン酸化型)またはD(疑似リン酸化型)に置換した変異体を作製した。これらの変異体を用いた解析により、in vitroにおいてA変異体はmTORのリン酸化活性をおさえること、in vivoにおいてもA変異体はmTORの活性を抑制し、D変異体はmTORの活性を上昇させることを見い出した。以上のことからこれらの酸化がmTORの活性を制御する上で重要な役割を担っていることが示唆された。3、今後は、mTORにおけるこれらリン酸化部位をリン酸化するprotein kinaseの同定を試み、アミノ酸によるmTORシグナル系の制御機構の解明とともに、細胞周期におけるmTORシグナルの役割を検討していく予定である。
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