Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
我々はこれまでRh錯体触媒により芳香族アセチレンが立体特異的に重合でき、選択的にシス体のポリアセチレンを与えることを明らかにしてきた。また、これらの置換ポリフェニルアセチレンは加圧によりシス体からトランス体へと異性化し、平面的なトランス共役鎖を形成することを報告してきた。本研究では、オルト位にアルキル基(メチル基又はエチル基)、パラ位にヘキシルオキシ基を有するフェニルアセチレンの重合を行った。オルト位のアルキル基はシス-トランス異性化により生成すると考えられるトランス体の安定化(フェニル基同士の立体障害の緩和)に寄与すると考えられ、加圧異性化や熱異性化による効率的なトランス体の生成が期待できる。[Rh(norbornadiene)Cl]_2触媒及び助触媒であるトリエチルアミンの存在下で重合を行い、収率30%〜35%で、クロロホルムやTHF等に可溶の赤色の固体が得られた。得られたポリマーの分子量はMn=583000と高分子量体であった。ポリマーの^1H-NMRから目的とするポリマーが得られたことが確かめられ、5.4ppm付近に観測されたシス体に特徴的なメチンプロトンのシグナルの積分強度比からシス体が優先的に生成しているが、重合中に異性化したトランス体も構造中に含んでいることが示唆された。また、オルト位のメチル基はモノマーでは2.4ppm付近に観測されたが、ポリマーでは1.8ppmへと大幅に高磁場シフトした。これはメチル基が主鎖の二重結合に接近しており、その遮蔽磁場の影響を受けているためと考えられる。このことから主鎖と側鎖のフェニル基はほぼ直交していると考えられ、フェニル基同士の立体障害の緩和の効果が期待できる。加圧前後の固体の拡散反射UVスペクトルの結果から、加圧により長波長領域の吸収が増大しており、その差スペクトルから400nm以下の短波長の吸収が減少し、670nm付近の吸収が増大していることがわかった。これは加圧によりシス体からトランス体への異性化が進行し、平面的なトランス共役鎖が生成したことを示している。この結果はESRスペクトル測定からも支持された。
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