Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
t(1;3)(p36;q26)転座を有する白血病の原因遺伝子を単離することを最終目標に研究を準めてきた。前年度までに、t(1;3)(p36;q26)転座を有する白血病の症例から樹立したH3細胞株を材料にして、サザンブロット法により3番染色体上の転座切断点を含む領域を絞り込み、さらに、その領域の塩基配列をもとにprimerを数種設計してinverse PCR法を施行することによりt(1;3)転座を含むクローンを得ることに成功し、3番染色体側、並びに、1番染色体側のゲノム上の転座切断点をそれぞれ3q25.3,1p36.3上に同定した。それらの切断点は、過去に報告されている3q21q26症候群、あるいは、t(1;3)(p36;q21)転座での転座切断点のクラスター領域とは離れた位置に存在していた上、それぞれで発現が異常亢進しているとされているEVII遺伝子、MEL1遺伝子共々、本細胞株では発現を認めないことを確認した。従って、本細胞株の由来する症例では、異なった発症機序が存在することが考えられた。今年度は、同定した転座切断点の近傍に存在する責任遺伝子の候補の探索を行った。切断点を同定した時点では、3番側、1番側の両転座切断点領域とも、ゲノム塩基配列が決定されていなかったため、今年度は、ゲノムプロジェクトの進行状況を検索しつつ、転座領域のPAC/BACクローンのゲノムライブラリーを作成し、ランダムシークエンス法による両染色体転座領域のゲノム塩基配列決定作業を行った。結果、転座点付近のゲノム塩基配列が決定できた。3番染色体切断点付近130Kb以内に、既知の遺伝子と未知のESTクローンが存在しており、かつ、1番染色体切断点近傍に位置すると思われるクローンも同定した。現在、H3細胞株におけるこれらの構造遺伝子の発現の異常の有無を検討中である。
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