腎細胞癌患者血清に於ける硫酸化酵素の発現と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
01015004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
賀佐 伸省 北海道大学, 医学部, 助教授 (10142712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 章 北海道大学, 医学部, 教授 (60004561)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 腎細胞癌 / 血清診断 / 硫酸化酵素 / 肝細胞癌 / 硫酸化糖脂質 |
Research Abstract |
腎細胞癌、胃癌、肺腺癌などの腺癌組織では複数の硫酸化糖脂質が著増していた。その直接的原因は糖脂質を硫酸化する硫酸転移酵素の活性亢進によるものであった。この現象は腎細胞癌で最も顕著であった。この様な組織レベルでの生化学的特性が血清に反映して、特に有効な腫瘍マーカーを持たない腎細胞癌の血清診断に有効か否かを検討した。また、他の癌血清についても調べ、更に本酵素の生化学的性状を解析した。 糖脂質硫酸化酵素の活性測定法は従来、煩雑な方法が用いられていたが、より簡便で迅速な改良法を開発した(Anal.Biochem.,1989)。しかし、本酵素の生成物である硫酸化糖脂質は血清蛋白に結合することから、改良法を更に改善して血清酵素の活性を測定した。その結果、健常人血清に比べて、腎細胞癌で有意に活性が亢進しており、他の固形癌血清、胃癌、肺癌、大腸癌、膀胱癌、子宮癌、こうがん癌では正常レベルであった(Eur.J.Biochem,.1990,印刷中)。しかし、腎細胞癌より肝細胞癌が最も高値を示した。肝癌以外の肝疾患血清では、肝硬変や肝炎は正常レベルであった。また、肝癌の超音波撮影による腫瘍径と血清活性値の間に相関性がみられたことより、本酵素は癌組織の増殖度を反映しているとみられる。一方、肝癌のAFP産生と本酵素活性を比較すると、AFP産生するものは概ね本酵素活性も高値を示したがAFP非産生肝癌でも高活性を示す例があり、逆にAFPを産生しても低活性を示すなど、AFP産生と本酵素活性には相関性がみられず、互いに独立して肝癌で発現しているとみられる(J.Natl.Cancer Inst.,投稿中)。 血清より本酵素を部分生成して性状を調べた結果、組織由来の酵素とは異なり、糖脂質GalCerよりはLacCerを最もよい基質とした。しかし、ゴルジ由来の他の硫酸化酵素に見られる一般的な性質であるNiやZnによる阻害効果は同じであった。 膜結合性の本酵素が血清に遊離する機構は明かでないが、培養繊維芽細胞の培地に本酵素活性が観測されることから、正常細胞で存在する遊離機構が癌で増幅されたものと思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)