核蛋白質の核内移行を阻害する抗体を用いた発癌における情報伝達機構の解析
Project/Area Number |
01015062
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 悦啓 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (80191667)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 真人 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (10172355)
|
Project Period (FY) |
1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥5,500,000 (Direct Cost: ¥5,500,000)
Fiscal Year 1989: ¥5,500,000 (Direct Cost: ¥5,500,000)
|
Keywords | 細胞増殖因子 / 細胞内情報伝達機構 / マイクロインジェクション / 核局在化シグナル / リン酸化蛋白質 |
Research Abstract |
細胞増殖機構や癌化のメカニズムを考える場合、細胞膜でおこった変化が、DNA複製や遺伝子発現の場である核へ、何らかの形でシグナルとして伝達されることが必要と思われる。細胞増殖因子が細胞膜の受容体と結合した後、引きおこされる複雑な細胞内情報伝達系での細胞膜付近でおこる初期反応については解明されつつあり、蛋白質のリン酸化が発癌に重要な役割を果していることがわかってきた。しかし、どのリン酸化蛋白質が発癌にとって重要か、どのようにして情報を核に伝達しているのかといった問題は全く未解明である。本研究では、先ずBALB/3T3(A31)細胞をG_0期に同調させた後、増殖因子の刺激によってG_0期からS期に移行させるという系で、核蛋白質の核内移行を阻害する抗体の及ぼす効果を調べた。増殖因子で刺激する直前に、A31細胞の細胞質にこの抗体をマイクロインジェクションしておく。4〜6時間刺激した後、再び刺激を止める。刺激開始から18〜20時間後に、^3Hーチミジンのとりこみをオートラジオグラフィーで判定し、S期に移行している細胞の割合を計測する。すると、抗体をインジェクションした方の細胞群では、コントロールの細胞群と比較して、S期に移行している細胞の割合が1/2〜1/3に低下していることがわかった。従って、この抗体によって阻害される機構を利用して核内に移行する物質の中に、情報伝達にとって重要な物質が含まれると考えられる。この分子を同定するため、我々は先ず、抗体が認識する抗原の同定を試みた。抗体に結合し、かつ核蛋白質のもつ核局在化シグナルと反応する蛋白質として分子量69KDaの分子(p69)が同定された。このp69に増殖因子刺激で特異的に結合する蛋白質分子が同定できればその分子が細胞増殖機構のシグナル伝達で重要な働きをする分子と考えられ、現在その分子の同定を進めている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)