Budget Amount *help |
¥6,300,000 (Direct Cost: ¥6,300,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1989: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
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Research Abstract |
チオフェン・ベンゼン二成分系については測定を全濃度域に拡大し,また298Kにおける蒸気圧と混合熱測定より,混合過剰熱力学関数を決定した。これを熱容量デ-タと組合せることにより,固溶体に対する混合過剰熱力学関数を決定することに成功し,研究を一段落させた。同称にKCN・RbCN二成分固溶体の熱容量を測定して相図を決定すると共に,CN^-イオンの緩和挙動を明らかにしたので,速報誌に発表した。 次いで包接水和物の研究に入り,既に発見していたテトラヒドロフラン(THF)水和物の純粋,及びKOHド-プの両試料について誘電率測定を行った。ド-プ試料に現われた62Kの一次相転移に伴なって、ホスト格子の水分子が配向秩序化すると共に,ゲスト分子の配向も同時に秩序化することが明らかとなった。水分子の双極子モ-メントの秩序化によって強い静電場が発生し,これが双極性ゲスト分子に有利な配向を与えるものと考えられる。なお,中性子実験によって低高温両相の回折デ-タを得たので,高温相中でのゲストの配向の乱れの性格を決定することができた。低温相の回折線は異常な拡がりを示し,現段階では秩序構造を決定するに至っていない。 THFより更に大きい双極子モ-メントをもつアセトン包接水和物に対して,純粋及びド-プ両試料につき熱容量測定を行った。前者に対しては86K付近にガラス転移点,後者に対しては47Kに一次相転移を発見したので,速報誌に発表した。同時に誘電率測定も行い,THFと類似した結果を得た。トリメチレンオキシド(TMO)はアセトンとTHFの中間の双極子モ-メントをもつので,これについてもKOHド-プ試料の熱容量を測定し,35Kに一次相転移を発見した。この場合のみ,誘電率測定から,ゲスト分子は低温相でも再配向運動を行なっている。これら三種の包接水和物の動的及び静的性質の相関を検討中である。
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