Research Project
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
ある種の金属、免疫刺激剤、漢方薬などの投与や、皮膚別離、食事制限、運動負荷などのストレス処理等の各種の前処理によってもたらせられるマウスにおける生体防御機構の活性化現象について、これまで放射線に対する抵抗性の増強や肝臓中のメタロチオネインの誘導現象を指標にして多くの実験を行ってきた。今年度は上記の前処理ではなく、10〜50センチグレイの放射線照射をするなど、微量放射線のもたらす生体防御機構の活性化現象、すなわち「放射線ホルミシス」についても動物実験を行った。マウスに10〜50センチグレイ程度の低線量の放射線を、あらかじめ2ヶ月前に照射しておくと、全く放射線照射をしなかったマウスに較べて、7グレイノ致死量の放射線に対する生存率が、対照の3%に対して20%と増加し、同時に脾コロニ-形成能も増加した。このように低線量の放射線照射も生体防御機構を活性化することが示唆されたので、過去3年間に渉って試みてきた各種前処理による生体防御機構の活性化の現象とのからみで、放射線ホルミシスのメカニズムについて検討した。さらに今年度は過去3年間に渉る本助成による研究成果をまとめ、本研究の目的である多重環境要因に対する生体反応のメカニズムの解明のため、これまでに得られているこの研究に関連した国内国外の知見を広く整理し、報告者が得た実験結果に加えて、生体の有害要因に対する防御における化学的防御機構と免疫学的防御反応とのコオディネ-ションに関する報告者の研究仮説を提示し、報告書を作成した。
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