Project/Area Number |
01510174
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
前平 泰志 甲南女子大学, 文学部, 助教授 (70157155)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1989: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 機能主義理論 / 人的資本論 / 文化再生産論 / 従属理論 / 世界システム論 |
Research Abstract |
わが国の教育権の理論は、主として子どもを中心にした発達理論に依拠したものか、日本国憲法や教育基本法に基く法的アプロ-チから構築されたものであった。けれども前者のアプロ-チでは、制度としての教育の側面が拾象されてしまう傾向があり、後者では現実の教育のダイナシズムがとらえ難いおそれがあった。いずれのアプロ-チにしても、第三世界を含む今日の国際社会の教育動向を組み込んだグロ-バルな視座は欠落してしまう。近年批准をめぐって問題になっいる「子どもの権利条約」の研究はこれらの先行研究のアプロ-チの不十分性を浮彫りさせる結果になっている。 今日の国際社会の教育権の現状をさぐるためには、教育権の基底としての教育制度の成立と発展を、第三世界を含めたグロ-バルな見地から検討しなければならない。従って、本研究では第二次大戦以降の全世界のナショナルな教育制度拡大の理由を説明しようとする種々の理論的アプロ-チ--(1)機能主義理論、(2)人的資本論、(3)文化再生産物、(4)従属理論、(5)世界システム論-を順次、批判的に検討し、最終的に世界システム論の相対的な優位性を現時点において確認する作業を行なった。 そこで明らかにされたことは、戦後教育制度拡大の普遍性と一般性を一国の構造的特性やイデオロギ-上の差異に還元して説明するアプロ-チでは、十分に経験的に証明されることができないという点にある。第三世界諸国における識字率の大幅な上昇にもかかわらず、絶対的な非識字者数の増加がみられるのであるが、にもかかわらず教育制度への巨大な資本投資と人的資源への投資の事実は、より広大なシステム-世界システム-を前提にしない限り、明らかにされることは不可能である。
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