ポ-ランド初期身分制議会とcorona regni概念-1333〜1454年-
Project/Area Number |
01510240
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井内 敏夫 早稲田大学, 第一文学部, 教授 (60120903)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | ポ-ランド / コロナ・レグニ / コンムニタス / 身分制社会 / 身分制議会 / 国王機関説 / 国家 / 国王選挙制 |
Research Abstract |
本研究は、「王国の王冠corona regni」概念の発達過程を通して、議会制を軸とするポ-ランドにおける国家構造の変容を跡付けるものである。以下、知見。(1)王冠という国家概念は、個人と職とは別者であり、不可譲渡としての権限は、個人にではなく、職に備わるという考え方をその基礎にもつ。つまり、王位という国家最高の職が王冠によって象徴されると同時に、国家自体も王冠が象徴する。したがって、王個人と王位=国家とを根本において分離するこの国王機関説は、ある条件下では、独自の権利をもつ国家が王と完全に分離し、なおかつ、その国権を社会(communitas=人民)の側が吸収し、取り込むということが起こる可能性を孕んでいる。(2)ガジミエシ大王(1333-70)時代。ル-シの併合を契機に多民俗国家としてのポ-ランドを表現する名称として王冠が導入される。(3)ル-ドヴィク(1370-82)時代。国家領土の不可譲渡性という王冠国家の基本的権利が確立すると伴に、国家が王と並ぶ主権の地位に達する。(4)空位期(1382-84)。王冠に象徴される国家とともに、身分制社会がcommunitasの名で国家の統治主体として登場する。(5)ヤギェウォとヤドヴィ-ガ(1386-99)時代。ヤドヴィ-ガ女王の親政とともに社会は統治主体の地位から脱落する。(6)1420年時代。王冠に臣従宣誓すればポ-ランドの臣民全体を君主として見做ざるをえないというマゾフシェ諸公の言葉に示されるように、王冠即ちポ-ランド国家とcommunitasとが同一視される。これは、ヤドヴィ-ガとアンナの相次ぐ死によってカジミエシ大王の血が途絶え、王位の世襲制が消滅したことと関連している。(7)14世紀末から15世紀前半のcommunitasは、概ね国王評議会によって主導されるものの、重要な案件については諸身分の代表がこの評議会に参加するという形のいわば拡大評議会が開かれており、これを初期身分制議会と見做すことができる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)