東アジアの説話の展開から見た中世本地物の形成ー伊豆箱根の本地を中心にしてー
Project/Area Number |
01510262
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国文学
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小島 瓔禮 琉球大学, 教育学部, 教授 (70044948)
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Project Period (FY) |
1989 – 1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1990: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 本地物 / 伊豆箱根の本地 / 月日の本地 / 蚕影山縁起 / 早離速離 / お銀小銀 / 継子話 / 尸語故事 |
Research Abstract |
1、「お銀小銀」型の昔話から「箱根権現絵巻」が形成、定着するには、伊豆箱根両所権現の信抑史とのかかわりを解明しなければならない。とくに、神の来訪地が、相模川西岸地域であることが、大きな問題点であったが、平塚市や大磯町の調査から、鎌倉時代初期の成立と見られる伊豆山権現の「走湯山縁起」で、神が唐が原に来たというのと、同じ風土的基盤にあることがわかった。また伊豆半島や伊豆諸島の調査から、これらの地域の忌官信仰が、伊豆山権現の信仰の影響下にあることも明らかになり、「箱根権現絵巻」の形成が、鎌倉時代初期の伊豆箱根両所権現、とりわけ伊豆山権現の伝えと関係深いことが推定できるに至った。 2、主として前年度に収集し、本年度に補足した「伊豆箱根の本地」(昔話の「お銀小銀」型)の類語資料を体系的に整理することを試みた。中世の本地物を、「伊豆箱根の本地」,「月日の本地」「戒言」の三群に、また中国大陸など東アジアの類語を、「舞子変文」系統、「観世音菩薩往生浄土本縁経」系統(早離速離)、「尸語故事」系統の三群に、さらに昔話は、「お銀小銀」「継子の井戸堀り」「蚕の由来」の三群に分け、各資料の要旨(物語の要素)を記号で表示し、全体の比較が可能な様式に整理した。この資料体系は、報告書としてまとめる。 3、以上の比較の結果は次のとおりである。中国には「舜子変文」系統の話が『孟子』以前からあった。これは継子話の世界最古の記録の一つである。「尸語故事」の「日光月光」はインドの経典に由来するかとおもわれる。「観世音菩薩往生浄土本縁経」は、この中国の類話で、「月日の本地」や「戒言」(「蚕影山縁起」)は、この系統である。「伊豆箱根の本地」)も、「日光日光」からの形成とおもわれる。これら系統の成果も、報告書に、概要をまとめる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)