Project/Area Number |
01510281
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
英語・英文学(アメリカ語・アメリカ文学)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 岩夫 立命館大学, 法学部, 教授 (30066675)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 日系アメリカ文学 / アジア系アメリカ文学 / アメリカ少数民族文学 / 1930年代アメリカ文学 / 『レイメイ』 / ヤスオ・ササキ / 『新世界』 / 山崎一心 |
Research Abstract |
ここ数年、いくつもの優れた作品が日系アメリカ人によって発表されている。これは確かに第二次大戦後の彼らの社会的経済的地位の変化を反映しているが、同時にそれはまた大戦前に見られた活発な文学活動の現在における到達点でもある。日系アメリカ文学は1890年代に作品を出版したサダキチ・ハ-トマンとヨネ・ノグチに始まるといってよい。しかしアメリカ市民としての思想と行動の表現を目指す日系文学が生まれたのは1930年代に入ってからである。青年期を迎えた二世たちは『新世界』や『加州毎日』などの日系新聞の英文欄に作品を寄せ、ユタ州においては文芸同人誌『レイメイ』を発行した。中西部のアイオア州でも文芸誌『ギョウショウ』が創刊されたことは、二世たちの創作活動がかなり広範囲にわたって活発におこなわれていたことを示している。これらの活動の中心となったのがヤスオ・ササキ、タロウ・カタヤマ、イワオ・カワカミ、トヨ・スエモト、カ-ル・コンドウなどである。彼らの作品は詩、創作、エッセイ、ドラマと多岐にわたり、新しい時代を自覚する青年の心を生きいきと写しているところに特徴がある。その多くは習作であるが、文学的完成度の他界作品も見い出される。若い二世作家や詩人たちのその後の活躍に一世の文学者たちが大きな期待を寄せていたことは、山崎一心編『アメリカ文学集』(1937)に記されている。1941年の日米開戦とその後の強制収容所への隔離は30年代の文学運動の発展を大きく阻害したが、それはまた市民の強制隔離という特異な文学上のテ-マを与えることになったのだ。青年時代を収容所で過ごした二世とその後に続く三世、四世が、第二次大戦後もなお活動を続ける30年代の作家や詩人、ジャ-ナリストたちから強い影響を受けるなかで、70年代以降・アジア系アメリカ文学としての日系文学を力強く推進してきているのである。
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