Project/Area Number |
01520027
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会法学(労働法,社会保障法,経済法等)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
稗貫 俊文 金沢大学, 法学部, 教授 (70113610)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 知的所有権 / 知的財産権 / 独占禁止法23条 / 特許法 |
Research Abstract |
論文や判例を読むことにより、米国の知的財産権制度の強化の理由は知的所有権制度のもつ投資を促進する機能や、企業の創意工夫を促す機能に着目し、この機能を一層強めようとすることにあることが判明した。このような知的所有権制度の見方は、1960年代から70年代にかけて米国で通用していた制度観とは大きく変ってきている。当時は、知的所有権制度が法的独占の付与を通じて競走を阻害し、企業の創造工夫をかえって抑圧するという観念が中心だった。今では前述の良き機能が強論されている。そのため、独占禁止法の運用も、創意工夫に満ちた産業社会を抑圧しないように自制され、独禁法の運用緩和が行われている。 このような認識は、筆者にとって一面でたいへん参考になるとともに反面でまた危惧をいだくものとなった。我が国でも同じ領域で同じ問題があり、米国の投資促進論や創意工夫の刺激機能が同様の強さでは認識されていなかったことは大いに参考になったが、当該制度の強化が反面でもたらす有害な効果に楽観的であることに参考としてはならない面を見い出した。米国の特許法が制定されて200年、独禁法の制定から100年に及ぶ歴史の中で次第に形成されてきた弊害面の認識が10年程度の変化で根本的に変れることはないはずである。我が国でも同じである。 このような認識を基調にして、独禁法二三条の解釈論を中心とした論文をいくつか発表した(11研究発表の項目参照)。さらに、米国の議論を紹介する論文を次に執筆する予定である。
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