Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1989: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本年度は,昨年度のエイズ・ウイルス抗体検査に関する州法による規制,エイズ患者やエイズ・ウイルス感染者に対する差別禁止,血液銀行や血液製剤メ-カ-のエイズ感染に対する責任,故意にエイズを感染させる行為の刑事責任,に関して得られた知見に新たな情報を加え,とくに,性犯罪の被疑者・有罪者に対する抗体検査,保険引受における抗体検査,エイズ罹患・感染医療従事者の問題を研究した.保険業界と公衆衛生関係者が対立していた生命・健康保険の引受を決定するさいの抗体検査の利用の可否の問題に関しては,エイズ禍の初期には,その利用を禁じる法律や行政規則上の規定を設けた州がいくつか見られたが,現在では,法律に関しては概ねすべてが改廃されて,また州の規則については,その有効性を争う訴訟においてほとんどすべてのものが無効と判断されている.この問題に関する州法で現行のものは,それを持つ州は多くはないものの,抗体検査に基づく引受拒否を認める一方で,事前の同意の確保,陽性者に対するカウンセリングの保障,医師による検査結果の通知,検査結果の守秘,申込者の結婚形態や同性愛・両性愛その他の性的傾向に基づく抗体検査の受検要求の禁止,保険給付からエイズ関係損害を排除することの禁止,を定めることで概ね共通している.医療従事者に対する抗体検査と感染者の活動禁止については,エイズ罹患医療従事者からのエイズ・ウイルス感染の事例が1990年に報道されてから新たな論議を呼んでいる.強制的検査や活動禁止に対しては公衆衛生関係者からの反対が強いが,この問題に関する疾病防止センタ-(CDC)のガイドラインはその取りまとめが遅れている.また,差別の問題に関しては,1990年に障害アメリカ人法(Americans with Disablities Act)が制定され,エイズ患者やエイズ・ウイルス感染者もその対象とされるが,細目を定める規則の制定は現在進行中である.
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