Project/Area Number |
01530027
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
経済事情及び政策学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高阪 章 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (00205329)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 対外借入 / 発展戦略 / 対外債務 / マクロ経済政策 / 構造調整 / 東南アジア / 東アジア |
Research Abstract |
1980年代における発展途上国間のマクロ経済パフォ-マンスの格差の拡大は、しばしば、ラテンアメリカの「失敗」と東アジアの「成功」という形で論じられてきたが、同じ現象が東・東南アジア諸国間でも生じている。発展途上国の対外借入れによる成長戦略という視点から、同期間の東アジアの4か国の対外債務とマクロ・パフォ-マンスの関係を考察してみると、構造要因と政策要因が密接に絡まっていることが再認識される。 まず、国によって異なる外生ショックの大きさは各国の経済構造の違いに基づいている。したがって、1980年前後から各国を襲った外生ショックのインパクトが国ごとに異なることは何ら不思議ではない。実際、80年代の「成功例」、韓国の厚生上のロスは相対的に小さく、「失敗例」、フィリピンのロスは大きい。しかしながら、フィリピンと同程度の強いショックを受けたタイのパフォ-マンスはフィリピンより優れている。 むろん、マクロ・パフォ-マンスの差はマクロ経済運営だけで説明できるわけではない。たとえば、より所得弾力性の高い輸出部門を育成することは長期的な構造調整政策の課題である。このように、これら諸国のマクロ・パフォ-マンスにおける格差拡大の原因は、外生的、構造的、政策的要因が競合したものであることは否定できない。それにも拘らず、債務危機に陥る場合に、限界的に決定的な役割を果しているのは政策要因である。外生ショック後の調整過程におけるマクロ経済運営をみてみると、各国間のパフォ-マンスの差がかなりの部分、マクロ経済運営の適否で説明できる。 今後の研究課題としては、マクロ経済政策相互間の関係、とくに、財政・金融・為替政策の間の関係とその効果のマクロ・バランスへの波及メカニズムを個別国ごとに明らかにすることが重要である。
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