Research Abstract |
常微分方程式の初期値問題(1)(dx)/(dt)=f(t,x),x(t_0)=x_0の解x(t)をオイラ-法、ルンゲ・クッタ法やアダムス法で代表される差分近似法:x_<n+1>=x_n+hn4(t_n,x_n,h_n),h_n=t_<n+1>-t_n,t_n=T(n=0,1,2,……)で数値的に求めるとき、この差分近似法の局所打切り誤差と数値計算によって生じる丸め誤差の影響で、各ステップt=t_nにおいて誤差r_nが発生するため、実際の計算では、元の初期値問題(1)とは異なる初期値問題(2)(dy)/(dt)=f(t,y)(t≠t_n),y(t_n+0)-y(t_n-0)=r_n,y(t_0)=y_0=x_0(n=1,2,3……)の不連続な解y(t)を求めていることになっている。従って、元の初期値問題(1)の解x(t)と初期値問題(2)の解y(t)との差e(t)(]SY.identical with.(〕SYx(t)-y(t)がどのような挙動を示すかを研究することによって、差分近似法で解き易い初期値問題と解き難い初期値問題を判別するための実用的な基準すなわち条件数の概念を導入し、確立することが本研究の目的であった。得られた結果は、次の定理および系である。 定理・常微分方程式の初期値問題(dw)/(dt)=f(t,w),w(t_R)=X_Rの解w=w(t,t_R,x_R),に対する第一変分方程式(dz)/(dt)=(αf)/(αw)(t,w(t,t_R,x_R))Zの基本行列をΦ(t,t_R,x_R)とする。ただし、Φ(t_R,t_R,x_R)=I(単位行列)。 このとき、t_0<t_1<t_2<・・<t_n≦t<T(n≦N-1)を満たすtに対してy(t)=x(t)+Σ^n_<R=1>∫^1_0Φ(t,t_R,x_R+(θ-1)r(t_R))r(t_R)dθが成り立つ。 系・t→Tまたはt→t^*<Tのとき||Σ^n_<R=1>∫^1_0Φ(t,t_R,x_R+(θ-1)r(t_R))r(t_R)dθ||→∞ならば、初期値問題(1)の解x(t)は悪条件である。 これ等の結果は、常微分方程式の初期値問題(1)の解x(t)が差分近似法で数値的に求められるためには、解x(t)は悪条件であってはならないことを示している。
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