Project/Area Number |
01540353
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理化学一般
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市川 恒樹 北海道大学, 工学部, 講師 (10001942)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | アニオンラジカル / 水素結合 / 電荷移動吸収帯 / 芳香族ケトン / 電子構造 / 電子スペクトル |
Research Abstract |
有機アニオンラジカルの溶媒和構造を知るため、プロトン性溶媒であるエタノ-ルと、非プロトン性溶媒である2-メチルテトラヒドロフラン(MTHF)混合溶媒での芳香族ケチルアニオンラジカルの溶媒和構造を電子λピンエコ-法で、電子構造を光吸収スペクトルで調べた。その結果以下のことが判明した。 1)非プロトン性溶媒中での溶媒とアニオンラジカルの相互作用は弱いが、プロトン性溶媒中ではアニオンラジカルのカルボニル基酸素上のPz軌道を通して溶媒と新たな水素結合を形成する。水素結合するアルコ-ル分子の数は最大2個である。 2)水素結合形成によってカルボニル基上に負電荷がある電子構造が安定化する。このため基底状態では負電荷がよりカルボニル基に移った状態、励起状態ではこれがよりベンゼン環側に移った状態に変化する。また基底状態が安定かするのに対して励起状態は不安定化する。よってカルボニル基からベンゼン環への電子移動に対応する可視吸収スペクトルはブル-シフトする。水素結合形成により、負電荷がカルボニル基側にある状態とベンゼン環側にある状態との混じり合いは、基底状態、励起状態共に少なくなるから、スペクトル強度も減少する。 以上、プロトン性溶媒中での芳香族ケチルアニオンラジカルの溶媒和による吸収スペクトルの変化は、溶媒との双極子相互作用に基づくものではなく、溶媒分子との分子軌道的相互作用を介した電子構造の変化によるものであることが判明した。
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