Project/Area Number |
01540355
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理化学一般
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤村 勇一 東北大学, 理学部, 助教授 (90004473)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 大振幅振動分子 / 時間分解光散乱スペクトル / エネルギ-緩和 / 振動前期解離 |
Research Abstract |
序.大振幅振動自由度を持つ分子の光励起状態で起るエネルギ-緩和速度は、通常の分子の場合とくらべて桁ちがいに速く、従来の摂動論にもとづく理論では説明出来なかった。本研究の主目的は、この様な系を取扱う理論的方法論を構築する事であった。 成果.エネルギ-緩和行列要素の値が自然発行寿命に対する値と比べて大きい系からの光共鳴散乱断面積の時間応答理論を密度行列法を用いて構築した。そこでは、振動エネルギ-が他のモ-ド(bath mode)を経由してエネルギ-が失われる場合を考え、この相互作用行列要素のある項を無限和とり、これを時間分解光散乱断面積の表式に組込んだ。定式化された式を用いて、時間分解スペクトルのモデル計算を行い、摂動項が大きい場合にも、理論式が有効に使える事を明らかにした。(結果は、J.Chem.Physに受理された)。次に、具体的に大振幅振動分子のエネルギ-緩和の例として、エチレン十希ガスファン・デル・ワ-ルス分子の振動前期解離(VPD)の機構の解明を行った。特にエチレンのV_7(面外振動)励起後のVPDには、エチレンの炭素-炭素軸のまわりの回転が大きな寄与をする事を行列要素の群論的考察より新たに見い出し、この機構を回転誘起振動前期解離と名づけた。この解離機構を定量的に解明するために、この系の代表例として、エチレン-アルゴンを取り上げ、相互作用ポテンシャルをAbinitio法の一つであるGAMESを用いて行っている。 結語.以上、本研究の主目的は、研究期間内にほぼ達成する事が出来た。回転誘起振動前期解離の速度の定量的評価は今後の課題である。
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