Project/Area Number |
01540388
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理化学一般
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
西 信之 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (60013538)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | クラスタ- / 質量分析 / 脂肪族カルボン酸 / 疎水性水和 / 疎水性相互作用 / エタノ-ル / 液体構造 / 水素結合 |
Research Abstract |
種々のアルキルカルボン酸の水溶液のクラスタ-質量分析を行ない、水和単量体、水和2量体、更に5量体までの水和ポリマ-について、その温度変化から、水和体形成反応、2量化反応、多量体形成過程の平衡定数、エンタルピ-変化、エントロピ-変化を求めた。その結果、アルキルカルボン酸のアルキル基が長くなるにつれて、水和のエンタルピ-変化は負の値が大きくなり、エントロピ-も又、負の値が大きくなって秩序の高い構造化が起ることが明らかとなった。即ち、アルキル基はその周りに水分子の水素結合ネットワ-クからなるシェル(殻)を作り、エネルギ-的に安定化する。更にこの水和体どうしが結合し合って、2量化、3量化が進ことがわかり、この過程はエネルギ-的には得をしないが、エントロピ-の増加によって促進されることが明らかになった。水の中では、アルキル基どうしが直接引力を及ぼし合う力は弱いが、このまわりの水のネットワ-クどうしが水素結合力によって更に大きなシェルを作り、アルキル基が隣接した2量体構造を安定化している。これは、水中における「疎水性相互作用」の本質的な形態であると考えられる。 エタノ-ルと水の様々な割合の混合物について、同様の実験を行なったところエタノ-ルの体積濃度が20ー80%の場合、大変大きな構造体が生成してしていることがわか。これは基本的には、エタノ-ルと水の1:1混合結晶に近く、(C_2H_5OH)_<2ー6>(C_2H_5OHーH_2O)_mという組成であった。質量数が小さなクラスタ-は、ほどんどエタノ-ル分子ばかりからなっているが、エタノ-ルが8個以上含まれるクラスタ-では、水が付加してゆき、最終的にはエタノ-ルと水の割合が1:1になるというものであった。以上のように、液体をクラスタ-ビ-ム化して見ることによって、これまでには全く予想もされなかったような高次構造の存在が明確になった。
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