分子間プロトトロピ-を用いる有機溶媒分子のドナ-性の評価法に関する研究
Project/Area Number |
01540421
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
有機化学一般
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 知己 京都大学, 工学部, 助手 (10026289)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 賢一 京都大学, 工学部, 教授 (50026358)
|
Project Period (FY) |
1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Keywords | 溶媒の塩基性 / ドナ-性 / Bronsted塩基性 / 分子間プロトトロピ- / ラセミ化速度 / 光学活性トロピリウムイオン / トロピリウムイオン / 速度論的塩基性 |
Research Abstract |
1.これまで合成例のなかった光学活性アルキルトロピリウム イオンとして、光学活性1-メチルプロピルトロピリウム イオン1および2-ビシクロ〔2.2.2〕オクチルトロピリウム イオンの2種類を合成した。1は、2-フェニルブタン(ラセミ体)より4段階の反応で、2は、5.7-ジオキソビシクロ〔2.2.2〕オクト-2-エンより10段階の反応で得た。2の比旋光度は、-4.4゚(塩化メチレン中)と相当小さいため、そのラセミ化速度を測定するには不適当である。そこで、充分な大きさの比旋光度-27.7゚をもつ1を次の反応の標準基質として用いた。 2.脱気下、または窒素雰囲気下、25℃、8種類の有機溶媒中において、1の分子間プロトトロピ-によるラセミ化速度を旋光計を用いて測定した。そのラセミ化反応速度は、反応基質に関して1次となり、その速度定数k_1は、DMSO>DMF>Acetone>Trimethylphosphate【greater than or similar】THF【greater than or similar】DME>CH_3CN>CH_2Cl_2の順に減少することを見出した。k_1の対数(log k_1)は、従来知られている種々の有機溶媒類の塩基性の尺度(ドナ-数(DN)、β値、Electron-donating powerなど)に対して、いずれも、ほぼ良好な1次の相関関係を示し、このラセミ化速度定数が、溶媒の塩基性を反映していることが明らかになった。 従来、知られている溶媒の塩基性の尺度には、Lewis塩基としてのものと、Bronsted塩基としてのものがあるが、いずれも熱力学的に定められたものが大部分で、速度論的に定められた実用的なものは見当らない。極めて簡単に評価が可能な1のような光学活性反応基質のラセミ化速度測定により、有機溶媒類のBronsted塩基としての塩基性の新しい速度論的な尺度が得られることが結論される。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)