有機硫黄化学反応における超原子価中間体への速度論的アプロ-チ
Project/Area Number |
01540422
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
有機化学一般
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥山 格 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029484)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 硫黄超原子価中間体 / スルフェン酸エステル / 加水分解 / 同位体元素 / 標識化合物 / 還元反応 |
Research Abstract |
ベンゼンスルフェン酸エチルは酸性水溶液中で加水分解を受け、チオ-ルスルクィナ-トを生じる。この反応は塩化物イオン、臭化物イオン、スルフィドなどの求核体によって加速される。一方、ヨウ化物イオンは還元反応を起こし、ジフェニルジスルフィドとヨウ素を生成する。これらの反応はいずれも、スルフェニル硫黄に対する求核攻撃を律速とする反応であると結論された。しかし、その求核反応比はCe^ー:Br^ー:I^ー:(HOCH_2CH_2)_2S=1:5.6:74:210となり、単純な求核反応における求核能の序列とは著しく異なっている。この結果は、反応中間体として超原子価硫黄化合物の生成を仮定することによって説明される。 ベンゼンスルフェン酸メトキシメチルも同様に酸促進求核触媒加水分解を受ける。この場合には、緩衝溶液中で二次の加速効果を受け、一般酸求核触媒機構で反応していることが明らかになった。また、酸素ー18で標識した基質を用いて、反応における給合開裂様式を調べたところ、求核触媒反応は90%以上がCーO結合開裂で進行していることがわかった。それにもかかわらず、求核触媒能はエチルエステルの場合に非常によく似ており、単純な求核炭素攻撃(SN2)反応で進行しているとは考え難い。この場合にも、最初に求核体が硫黄を攻撃して超原子価中間体を生成し、この中間体の中でリガンド移動を起こしSーO結合開裂で反応しているものと考えられる。このような1ー3移動は、炭素中心がメトキシ基によって活性化されていることによると思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)