Project/Area Number |
01540433
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
有機化学一般
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
三島 正章 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20037279)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 気相イオンの安定性 / 置換基効果 / 共鳴要求度 / ソルボリシス / カルボカチオン中間体 / ベンジル位炭素陽イオン / イオンサイクロトロン共鳴 / 湯川ー都野式 |
Research Abstract |
ベンジルカルボカチオン(Arーc^+(R^1)R^2)としてR^1、R^2=H、H;Me、CF_3およびH、CF_3系の気相安定性をイオンサイクロトロン共鳴装置を用いたイオン平衡の測定から決定した。これらの系を含む一連のベンジルカルボカチオンの安定性に及ぼす置換基効果をLArSR相関に基づき統一的に解析し、次の事実を明らかにした。(1)ρ値はR^1、R^2の種類に関係なく-9〜-10の範囲で一定である。(2)r値は系により大きく変動し、その変化はそれぞれの系の母体カチオンの不安定化の方向に平行して連続的に増大する。このr値の変化はαー置換基からの陽電荷の安定化とアリ-ル基からのπー電子非局在化による安定化が相補的に寄与していることを示し、共鳴要求度(r)が各々のカチオンに固有のバラメ-タ-であることを強く示唆した。気相カチオンの結果と対応するS_N1ソルボリシスとの比較から、気相カチオンのr値がソルボリシスのr値に完全に一致することが明らかになった。この事実は、ソルボリシスの遷移状態における電荷の非局在化が中間体イオンの非局在化に等しいことを示唆する。従って、遷移状態の構造は中間体に近く、また遷移状態におけるπ-電子の非局在化の度合は反応座標に沿った遷移状態の位置に無関係に各々の中間体カチオンの構造に固有のものであると考えられる。つまり、イオンの電荷の分子内安定化は系に固有のr値で記述でき、気相から液相に移すことによる溶媒和安定化はρ値の減少をもたらすだけであると結論できる。この結論に従うと、溶媒の関与による機構変動は系に固有のr値のLArSR相関直線からのずれとして検知できることになる。事実、機構変動の存在するベンジルトシレ-トのソルポリシスの置換効果は気相における共鳴要求度r=1.3を使用するとmーMe基より電子供与基側で直線を、これより電子求引基側ではかなりフラットな単一曲線を与え、置換基の変動に伴うS_N1からS_N2機構への変動を合理的に記述できた。
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