炭素-窒素二重結合に関する幾何異性化の機構:反転機構の二重性の証明
Project/Area Number |
01540436
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
有機化学一般
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
浅野 努 大分大学, 工学部, 教授 (40094057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世良 明 神戸大学, 理学部, 教授 (90025271)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 高圧NMR / 幾何異性化 / 活性化体積 / 反転機構 / 溶媒効果 / 置換基効果 |
Research Abstract |
1)パラ位置に3種の基を持つヘキサフルオロアセトンアニル類Ia,b,cを本研究のために作成したオ-トクレ-ブを用いて合成した。 2)常圧下での異性化速度に対する温度効果をIa,cについてはアセトニトリルーd_3中で、またIbについては様々な極性を持つ6種の溶媒(炭酸プロピレン、DMSO、アセトニトニルーd_3、ピリジンーd_5、塩化メチレンーd_2、ジオキサン)中で測定し、活性化エンタルピ-と活性化エントロピ-を求めた。また298Kでの速度定数を内挿によって求め比較した。その結果以下のことが明らかになった。 (1)回転機構で異性化すると言われていたIbにおいても活性化段階で反応物の極性は大きな変化をせず、遷移状態の極性は反応物のそれとほぼ同じである。 (2)Icの異性化速度はハメット則から期待される以上には大きくない。 (3)活性化エントロピ-はパラ位の置換基の電子供与性が大きいほど大きな負の値になる。しかしIbの△S≠は溶媒極性に依存しない。 3)Ib,cについてアセトニトリルーd_3中で異性化速度に対する圧力効果を測定し、活性化体積を求めた。その値はIb:+3.7cm^3mol^<-1>、Ic:+0.5cm^3mol^<-1>であり、活性化段階で反応物の極性に変化が起こっていないことを示した。 4)以上の実験結果から、極めて電子吸引性の強いトリフルオロメチル基を2つ持つヘキサフルオロアセトンアニルにおいても、窒素原子上の置換基の電子的性質に関係なく、二重結合に関する異性化は反転機構で進行していることが明らかになった。このことは既に知られているハメットプロットの折れ曲がりと併せ考えるならばC=N結合に関する幾何異性化において反転遷移状態でのフェニル基の立体配座に直交と平面の2種があることを意味するものである。従って本研究の目的は完全に達成されたと言える。
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Report
(1 results)
Research Products
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