Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本邦三陸沖暖水塊,伊豆諸島海域,東京湾東京からハワイの北部北太平洋域,アメリカ合衆国カロライナ沖湾流域の試料について分析及び解析を行った。その結果,表層における大規模な対流混合,湧昇などによって生物による消費を上回った硝酸の供給があった場合には同位体比が低下し,小規模の混合や湧昇によって生物による消費と見合う程度の供給があった場合には同位体比が増大することがわかった。つまり,表層の生物起源粒子の窒素同位体比は,海洋表層への硝酸塩の供給のメカニズムの違いに対応して変動していることがわかった。 最近注目されている大気中の炭酸ガスの将来を予測するためには,海洋への炭酸ガスの取り込み過程である基礎生産を正確に評価することが最重要課題である。そのためにはまず第一に海洋の基礎生産の時間的,場所的変動を明らかにしなければならない。 海洋下層から表層への栄養塩類の供給は,その機構を問わず,表層に基礎生産の増大をもたらし,その結果としてその海域の表層から深層へ運ばれる物質のフラックスを増大させる。筆者がすでに明かしたように,このフラックスを担う沈降粒子の窒素同位体比は表層の粒子のそれに支配されるので,今回の結果は,それを時系列的にはかることによって表層海域の栄養塩環境とそれによるフラックスの変化を時系列的にモニタ-することが出来ることを意味している。そのような測定を,人工衛星による海洋表層環境の地域的変動の時系列デ-タとあわせて,海洋の物質フラックスを正確に見積もるのが将来の目標である。
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