プレ-ト衝突境界に産するカルクアルカリ安山岩の成因に関する地球化学的研究
Project/Area Number |
01540469
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
分析・地球化学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野津 憲治 東京大学, 理学部, 助教授 (80101103)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | カルクアルカリ安山岩 / ストロンチウム同位体比 / プレ-ト衝突境界 / プレ-ト沈み込み帯 / インコンパティブル元素 |
Research Abstract |
カルクアルカリ安山岩は、日本のようなプレ-ト沈み込み帯に特有な火山岩で、沈み込みに伴って水がマントルに供給されマントルの融点を下げるためにマグマが発生すると考えられてきた。しかし、プレ-ト衝突境界でも産出することが知られており、このような安山岩を研究するとマグマの発生に水の供給が本質的か否かを知ることができる。 トルコ東部はアラビアプレ-トとユ-ラシアプレ-トの衝突する場であり、カルクアルカリ安山岩がアルカリ岩系列の玄武岩と伴に産出している。この地域の9火山から採取された60試料程度の火山岩について、主成分元素組成および微量14元素組成をケイ光X線分析で定量し、さらに^<87>Sr/^<86>Sr比を分析した。 その結果、^<87>Sr/^<86>Sr比は各火山ごとに特有の値に集中したり,あるいは地殻物質の混入を示唆する大きな分布幅をもっていたりしているが、全体としては0.7033-0.7083の範囲内でプレ-ト沈み込み帯の火山岩と同じ範囲を占めていた。また、カルクアルカリ安山岩を主体とする火山でも玄武岩がわずかに産出することがあり、その場合その玄武岩の^<87>Sr/^<86>Sr比は0.7040以下の低い値を示し、他物質の混入を受けていないマントル起源であることが分かった。インコンパティブルな微量元素存在度は、Ba,Sr,Rbなどイオン半径の大きい“LIL"元素が沈み込み帯の安山岩同様に濃縮していた。しかしNbなど原子価の大きい“HFS"元素は沈み込み帯の安山岩では欠如しているのに対し、衝突境界の安山岩では濃縮しており、この点が衝突境界のカルクアルカリ安山岩の化学組成の最大の特徴であった。このことは、カルクアルカリ安山岩の成因に関して水の存在が本質的でないことを示しており、プレ-ト衝突境界では沈み込み帯とは全く別のマグマ生成機構を考えなければならないことが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
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