かび臭物質産生ラン藻類の生活環に及ぼす微量元素の影響とその生物地球化学的循環
Project/Area Number |
01540479
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
分析・地球化学
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中島 進 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60033122)
|
Project Period (FY) |
1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Keywords | ラン藻 / 微量元素 / ガスクロマトグラフ-質量分析法 / 琵琶湖 / かび臭物質 / 2-メチルイソボルネオ-ル(MIB) / ジオスミン |
Research Abstract |
近年、富栄養化のため琵琶湖をはじめとする湖沼や水道水源地で発生しているラン藻類が産生するかび臭物質{2-メチルイソボルネオ-ル(MIB)及びジオスミン}による臭い水道水が問題となってる。本研究ではこうしたラン藻類の生活環に及ぼす種々の微量元素の影響を培養実験により検討した。かび臭物質はパ-ジトラップ法により濃縮後、ガスクロマトグラフ-質量分析装置により定量した。琵琶湖から単離したAnabaena macrosporaの増殖に及ぼす微量元素の影響を検討した結果、Fe-EDTAと共にCoが増殖並びにジオスミンの産生に最も影響を及ぼすことが判明した。A.macrosporaは生育環境に固定窒素源が欠乏するとニトロゲナ-ゼの作用により分子状窒素を固定して増殖し、ジオスミンを産生することが判明した。その際、Fe-EDTAと共にMoが必要であった。琵琶湖から単離したOscillatoria tenuisの増殖に及ぼす微量元素の影響については、Fe-EDTAとMoが増殖並びにMIBの産生に大きな影響を及ぼすことが判明した。更に琵琶湖から単離したPhormidium tenue(MIBを産生)ではFe,Co,Mnが、またノルウェ-産のOscillatoria brevis(ジオスミンを産生)ではFe,Coが増殖及びかび臭物質の産生に必要であった。なおかび臭物質はこれらのラン藻類において殆どの割合(85%以上)がラン藻類の体内に保持されていた。種々の微量元素の中で、琵琶湖の湖水中の溶解性Fe(有機物とキレ-ト結合したFe)の存在量がこれらのラン藻類の増殖の制限要因になりうることが判明した。またラン藻類は水中の微量金属元素を濃縮し、水-堆積物系のそれら元素の循環に果す役割が大きいことがわかった。ラン藻類の生成したクロロフィル、フィコシアニン或いはフィコエリスランの光合成色素量を分光蛍光光度装置により測定したところ、増殖量及びかび臭物質の産生量との間に相関関係が認められ、かび臭物質MIB或はジオスミンの産生機構の解明への糸口がつかめた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)