Project/Area Number |
01540530
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
遺伝学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 富士夫 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (10126039)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 枯草菌 / 胞子形成 / カタボライト抑制 / 細胞分化 |
Research Abstract |
外界の物理化学的要因の変化に応答してそのシグナルを細胞内に伝達し細胞内の関連遺伝子群の発現調節を行う系は生物一般に共通してみられる現象である。枯草菌の胞子形成の開始と栄養源の欠乏とが密接に関連していることは知られていたが、その標的遺伝子はよくわかっていなかった。我々は胞子形成開始に最も重要な遺伝子であるspoOAには2つのプロモ-タ-(Pv,Ps)が存在し、Pvは栄養増殖期に弱く転写され胞子形成開始期にはこの転写が抑制されると共に新たにPsからの転写が活発に行われるようになり、またグルコ-スの添加によりPsからの転写は抑制されるがPvからの転写は胞子形成期に入っても続くことを見出した。Pvからの転写はいかなるspoO変異にも影響をうけずPsからの転写にはspoOA,B,EF,Hの遺伝子産物が必要であるが,spoOAのsof-1変異株ではこれらのspoO変異をサプレスして胞子形成能とともにPsからの転写をも回復していた。さらに主要シグマ因子(rpoO)の変異で胞子形成カタボライト耐性になったCI・SA変異株ではspoOAのPsからの転写がグルコ-スにより抑制をうけなかった。PvPsをもつ野生株ではグルコ-ス存在下でも10^<-3>〜10^<-4>の頻度で胞子を形成するがPvをもたずPsのみをもつspoOA変異株ではグルコ-スが存在しない場合正常な胞子形成を行うがグルコ-ス存在下では胞子の形成が全く(<10^<-8>)みとめられなかった。このことはPvプロモ-タ-が存在することにより栄養源の豊富な条件下でも胞子を形成し得ること、つまり急激な環境の変化に抗して富栄養下でも子孫(胞子)を残すことができる一種の生存を保証する機構として働いていることを示唆する。以上のことは胞子形成開始期にspoOAが栄養源の変化に対応して複雑かつ巧妙に転写レベルとりわけPsからの転写が調節されることにより胞子形成開始が制御されていることを強く示唆する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)