酵母の形態形成における細胞骨格の役割-フィラゾ-ムを中心として-
Project/Area Number |
01540578
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物形態・分類学
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 健治 名古屋大学, 医学部, 教授 (70013315)
|
Project Period (FY) |
1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 酵母 / Schizosaccharomyces pombe / 細胞骨格 / アクチン / 急速凍結置換 / 電子顕微鏡 / フィラゾ-ム |
Research Abstract |
われわれは、分裂酵母Schizosaccharomyces pombeの成長と分裂の仮定における細胞骨格、なでもアクチンの動態について注目し、急速凍結置換固定した試料の電顕観察によって、細胞壁と隔壁の形成部位に、多数の小胞(vesicles)と繊維状の球形構造(filasome)が集積していることを見いだした。(kanbe et al.1989)。前者の小胞は、細胞壁合成に与る酵素や素材を運搬する小胞と考えらえたが、フィラゾ-ムの起源と機能については不明であり、これを明らかにすることが本研究課題の目的であった。当初、酵母細胞よりアクチンを単離精製し、抗アクチン抗体を得て、免疫電子顕微鏡法によってアクチンの局在を示すことを計画したが、本年度には成果が得られなかった。しかし、次の実験により、フィラゾ-ムの性状について新しい知見を得ることができた。1)対数期の細胞を蒸留水に浮遊しインキュベ-トすると(飢餓条件処理)、ロ-ダミン標識ファロイジン染色では、大型顆粒と紐状のアクチン繊維が細胞質内に出現し、これといった局在性が認められなかった。これに対応して、電顕観察では、細胞壁成長領域に局在したフィラゾ-ムが細胞質内に凝集して散在すると共に、所所に微細繊維の束状構造が出現していることが示された。2)サイトカラシンA処理の細胞では、顆粒状アクチンは、未処理細胞と同様、細胞端に局在したが、細胞中央部にアクチンリングが形成されず隔壁ができなかった。また、小胞とディクチオゾ-ムは高電子密度の大型構造に変化したが、その局在性に特徴は見られなかった。以上の実験から、フィラゾ-ムがロ-ダミンファロイジンで染色される顆粒状アクチンに対応する構造であること、アクチンが細胞壁成長と隔壁形成だけでなく、細胞質小胞やディクチオゾ-ムの形態保持にも関与している可能性を示すことができた。なお、アクチンの精製と免疫電顕による研究は、現在進行中である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)