ニホンザルとニホンジカを用いた同所的異種、異所的同種の島しょ化パタ-ンの比較
Project/Area Number |
01540672
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anthropology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 末尋 京都大学, 理学部, 助手 (80153419)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1989: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 島しょ化 / ニホンザル / ニホンジカ / ヤクザル / ヤクシカ / 過成長矮小型 / プロジェネシス / ヘテロクロニ- |
Research Abstract |
同所的異種、異所的同種の島しょ化パタ-ンの比較のために、ニホンザルの北近畿、日光、金華山、屋久島、房総半島由来の頭蓋骨と長骨をそれぞれ72、30、45、90、36体分ずつ計測し、また、咬耗と縫合線の状態を調べた。ニホンジカは、日光、金華山、屋久島由来の骨格標本をそれぞれ60、63、25体分計測し調べた。詳しい分析は現在進行中であるので、これまでにわかったことの概略を両種でともに亜種とされている屋久島の個体群の島しょ化パタ-ンを中心に記す。 ニホンザルでは北近畿と日光の間に頭蓋骨の形態には大きな差はなく、他集団に比べて一まとめに扱える。これに対し、ヤクザルは全体的に約10%小さくやや低頭で口吻が細長いことを除くと、非島しょ集団とほぼ相似形である。しかし、相対成長分析をおこなうと前後方向の成長の優位性が明確となり、また、長骨骨端線、頭蓋骨縫合線の消失が早い傾向が明確で、以前に私が規定した過成長矮小型であることがより明瞭に示せた。一方、ヤクシカも日光のシカに比べると頭蓋骨は約12%小さい相似形に近く、低頭で、さらに骨端線、縫合線の早期消失の傾向が明らかである。しかし、ヤクシカの口吻は相対的にやや短く、過成長矮小型と言い切ることには難がある。とはいえ、両亜種ともに矮小型でかつ早期成長停止型であること、基本的には過成長的であることから、ともにプロジェネシス型であるとわかった。ヤクザルには初発情の時期がホンドザルより早い傾向があり、ヤクシカにもその可能性がある。典型的な島しょ化効果は過剰人口による食物不足がもたらすものだが、その場合は初発情・初産の遅れ、成長の遅れが伴ない、この両亜種の場合と異なる。金華山のサルは北近畿、日光のものとサイズ・シェイプともに近いが、シカはサイズがヤクシカなみである。この差はシカの方が生息密度がより高く過剰人口であることで説明できる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)