Project/Area Number |
01540676
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anthropology
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
茂原 信生 獨協医科大学, 医学部, 講師 (20049208)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1989: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 家畜化現象 / イヌ / 咀嚼器官 / 退化 / 古代家犬 |
Research Abstract |
おもに、各地に保存されている日本古代家犬の調査を行なった。特に日本の南北端の北海道と九州の調査を重点に考えた。対象に獨協医科大学に所蔵されている古代日本犬の系統を引くといわれているシバイヌを用いた。この調査によって明かになったことは、古代家犬から現生犬に向かって「咀嚼器官の退化」が起こっているという事実である。縄文時代から中世の鎌倉時代までは数千年の長さにもかかわらず大きな咀嚼器官の変化は見られていないのに対し、中世以降は咀嚼器官の変化(退化)がみられるようになった。それに伴って顔面の幅や頭蓋の高さにも変化が見られる。この変化は現生のシバイヌで頂点に達し、極端な咀嚼器官の退化やそれに伴った病変が見られるようになっている。時代的な変化は次のようなところに現われる。 1:下顎骨の厚さの減少(虚弱化) 2:下顎縫合のすぐ後部の下顎底に切痕が現われる。 3:口蓋の長さが減少し、幅が大きくなる。それに伴って、歯の近遠心径が縮小し、頬舌径が拡大する。 4:口蓋の長さの減少は顔面が短くなる変化をもたらす。 5:顔面の幅が相対的に大きくなる。 6:咀嚼筋の退化は矢状稜の発達の悪さで明かで、これに伴って脳頭蓋の高さが増加する。 これらのようないくつかの現象が確認された。これらの変化は、文献的に述べられているヒトの形態変化(いわゆる家畜化現象)に対応した変化ということが出来る。イヌはヒトの残飯を食べることによってヒトとあまり違わない食性となっている。この結果、実質的には数百年でかなりの変化を見せていることになる。特に最近のイヌの変化は、第二次大戦後の日本人の変化に見られるように急速に咀嚼器官が退化しており、ヒトの家畜化現象の加速を上回る速度で進んでいることが確認された。
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