Research Abstract |
導分を持つ環の性質に関し既に得られているいくつかの結果を2つの方向に拡張・発展させ、以下の結果を得た。 一つは、半分配環の導分を考える事により、Bell&Masonの結果を次のように拡張した。以下、Nを零対称な左半分配環とし、d:x→x'をNの零でない導分、AをNの零でないイデアル、部分集合Sに対して、V_N(S)={x【element】N|xs=sx^〓s【element】S}とする。ここで次の条件を考える。1)各a【element】Aに対し、a-a'【element】V_N(A)かつA'〓A、2)各a【element】Aに対し、a+a'【element】V_N(A)かつA'〓A、3)A'〓V(A')。この時、次の定理を得る。定理1.1 AがNの零でない零因子を持たず、0≠A'〓Aの時、各a【element】Aに対し、aa'-a'a=0あるいはaa'+a'a=0のいずれかが成立すれば、(N,+)は可換である。定理1.2 Nが素半分配環で、条件1)あるいは2)のいずれかが成立すれば、(N,+)は可換である。また、A'≠0で、条件3)が成立すれば、(N,+)は可換である。更に、Nが零以外に2-ト-ション元を持たない場合、条件3)が成立すれば、Nが可換環となる。 他の一つは、環の導分を一般化する事により、Posnerの結果を次のように拡張した。以下、Rを環、その中心をC,AをRの零でないイデアル、V_R(A)={x【element】R|ax=xa^〓a【element】A}とする。RからRへの写像d:x→x'が各x,y【element】Rに対して(x+y)'-x'-y'【element】Cおよび(xy)'-x'y-xy'【element】Cを満たす時、dを一般化された導分という。この時、次の結果を得る。定理2.1 Rが素環で、A'〓Aの時、次の条件は同値である:1)Rは可換。2)Aは可換。3)零でない一般化された導分d:x→x'が存在し、各a【element】Aに対して、aa'-a'a【element】V_R(A)。
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